◎12月20日〜12月29日

12月20日
壮行会を開いてくれました!

 私は今、パリから車で3時間ほどの所にある、ブルターニュ地方のディナンという港町にいます。英仏海峡を望み、中世の石畳と木製の格子模様が美しい観光地です。ここに今回私の乗るバイクをチューンしてくれているブリタニー・モトというバイクショップがあり、現在、最後の仕上げに入っています。

 今回このブリタニー・モトから7台のバイクが出場します。この会社はフランスでも大きなバイクショップで、四輪1台、トラック1台、エアメカニック2名が、これら7台のバイクをサポートすることになっています。
 昨日は、そのうちの5台が完成したことを記念して、お披露目と壮行会を兼ねたパーティーが開かれました。パーティーと言っても、ライダーやスタッフだけで祝うのではなく、町を挙げて行う大きなもの。やっぱり現地は、盛り上がってますよ。体育館を貸し切って、町の人が350人も集まってくれました(フランスでは、地元からパリダカに出場する場合、こういった町の人が参加するパーティーが開かれるのが普通なのです)。

 パーティーには、みんな昼食代の名目で1600円ほどのお金を支払って参加します。これはパリダカの支援のためではなく、モーリタニアやモロッコなどへの寄付として使われるのです。今回集まったお金は、井戸掘りに使われるそうです。素晴らしいことだと思いませんか?

 パーティーのゲストは、ライダー、スタッフ、ボランティア団体など。挨拶をしていく中で、面白いのが神父さん。何でここに神父さんがいるかというと・・・毎年8月15日、ライダー達の交通安全祈願の集まりがあるんです。これはもう何十年と続いている行事で、今年は15,000人ものライダーが集まったとか。皮のツナギを着たライダー達が、マリア像を掲げて歩く姿(日本では御神輿かつぎといったところでしょうか)は、なかなか見られるもんじゃありません。その神父さん(カワイイお爺ちゃん)がステッカーのお守りをくれました。バイクに貼っちゃおう。
 次に挨拶をしたのは、地元のおまわりさん。ブリタニー・モトでは警察と協力して、ちょっと道を外れた(笑)アウトローな青少年に、オフロードバイクを教えて更正の手助けをする、といったこともやっているのです。
 私も、挨拶をしました。ちゃんとフランス語で。原稿を書いてもらったんだけど、ちゃんと発音できていたかは、会場の笑いが物語っていたでしょうか。

 お昼を食べた後は、みんなでダンスをしたり、子供達とクリスマスソングを歌ったり・・・私は口パクだったけど(笑)。アットホームな感じがとても心地よい、楽しいパーティーでした。

 ところで、オートバイの出来の方はというと、昨日、エンジンがかかりました。あとは仕上げのセッティングを今日から行っていきます。
 それから、ゼッケンが決まりました。私は93番、夫は92番です。夫のすぐ後から出発することになります。
 チーム体制はというと・・・やはり10年もやっていると、知った顔が多いですね。
「サポートライダーのつもりで走るよ」と言っていたのはベルギーのベテランライダー。アシスタント四輪のナビゲーターは夫が初出場した時のチームメイト。カミオンドライバーは、これまたプジョーやシトロエンなどでアシスタントを務めたベテラン。
 日本人スタッフは2人です。どちらもパリダカは初めての方。大阪出身のサラリーマン、斉藤正彦さんと、福井出身のバイク店の店主、谷口和宏さん。初めてとは言っても、もちろん国内・海外のラリー経験者です。
 他にもフランス人のモトクロス国内チャンプほか、チェコ、カナダ、ブラジルなど、まさに多国籍チーム!英語やフランス語、その他諸々が乱れ飛んで、なかなか壮観です。

 時差ボケもなく体調もバッチリ、みんなの暖かい声援で気分も上々。あとは最終調整して、出発を待つばかりです。頑張ります!

※せっかくなのでトイレットペーパーの話題を。私が泊まっているのは二つ星クラスのホテルですが、使っているのは全て再生紙でした。日本のものとの大きな違いは、サイズですね。幅は10センチほどしかなく、ミシン目も12センチおきについていました。ちょっと日本の方が大きいですね。


12月22日
雨が続いています…

 先日の壮行会で新聞に載ってしまいました!テレビでも放送されたので、町を歩けばみんなが声を掛けてくれます。記事の内容は今翻訳してもらっていますので、後々お伝えすることができると思います。

 さて、昨日から雨が続いて、テスト走行もできない状態です。ですからこんな日は一体どうしているのか、ってことをお伝えしますね。
 別にショップで篭りきりっていうわけではなく、空いた時間を利用して、荷物整理などをしていました。実はこれが結構大変で、アシスタンス・カミオン用、PSOと呼ばれる飛行機用、パリ用、ダカール用と、何百点とある荷物を整理するだけでも2、3日かかってしまいます。

 それから、壮行会で知り合ったラジエター屋さんが、私も含めた日本人3人(12/20に紹介した人ね)をサン・マロという所へ案内してくれました(本当ならテスト走行でこことディナンを往復するはずだったんですが)。

 サン・マロは、モン・サン・ミッシェルの近くにある港町で、海草パックなどの「タラソテラピー」で有名な所です(車検が終われば時間の空く他の二人は「絶対来よう」と言ってましたが、私は残念ながら体験している時間はなさそうです)。ここで連れていってもらったのが、日本人なら大喜びの「カキ」の工場。見学させてもらった後、たくさん食べさせてもらいました。こういった工場の見学って、結構気軽に応じてくれるんです。ディナンでもチョコ屋さんやパンの製造過程を見せてもらったし。・・・なんだか「ひるどき日本列島」みたい(笑)。

 そうそう、サン・マロではクレープも食べました。そばクレープ(フランス語ではサラザン・クレップ、あるいはガレットと言います)。甘いものだけでなく、ハムやチーズを挟んだものもあって、しかもこれが大きい!一食分です。3人で3枚買って69フラン(1500円くらい)だったから、お値段もお手頃で、おいしかったです。
 他にも美容室へ行って前髪をそろえてもらったり(美容師さんがこれまた上手い!って本場だから当たり前か)、雨を利用して(?)結構楽しんでしまった一日でした。

 今日は雨が上がればテストができるんですが、どんよりと曇って、朝9時を回ってもまるで夕方のようです。ともかく、これからショップへ向かい、天気の回復を祈りたいと思います。それでは、また。


12月26日
クリスマスの過ごし方

 今日の夜、車検会場に向かうため、バイクショップでの作業が最後となります。割とのんびり私はやっていたのですが、それでも1日15くらいのやることがあり、それをやっては又15出てきて……という感じで、今日も又15のテーマがあります。たとえばエアフィルターのケースに砂が入らないようにする、ステッカーにクリアを貼る、スペアパーツの確認、といったことです。

 クリスマスにはバイク屋さんの奥さん(この人が家事して、お客──すごい人が入る!──の相手をして、少し修理っぽいこともして、ラリーのスペアパーツも確認して、といったことをallやってしまうすごい人です)の実家に呼ばれました。15km離れた酪農家の石づくりの家です。

 父、母、妹、バイク屋夫妻、そして私を含む日本人3人とチェコスロバキアの青年(トラックサポートのコ・ピロット(ナビゲーター)兼メカニック)というメンバーです。

 唄あり、会話あり、大笑いの楽しいひとときでした。他のメカなどのメンバーは全てクリスマスのためにこの日は8時頃帰宅。そして25日は唯一、休みでした。私たち日本人とチェコの人、夫妻、そしてアルバイトの人は休みもなく、お仕事してます。サポートの車2台もエンジンやってたりして、結構大変そうです。皆ラリーに向けて調整する訳ですが、やはりそれぞれ仕事を持っている人が集まるので、結局ギリギリで間に合うといった感じです。いつものことですが、これは。

 それにしてもクリスマス明けの25日、どこの店も閉まってて、まるで昔の日本のよう。開いているのはパン屋と花屋のみ。あとはセルフサービスのガソリンスタンド、無人のレンタルビデオのみ。

 さて、紙の話です。トイレットペーパーはどこに行っても結構スペアがあるのですが、家の中に箱ティッシュというものを見かけません。湯水のように使う日本との差はそこですね。タオルを使っています。お母さん、洗濯大変そう。ポケットティッシュが多いみたい。まるでキッチンナプキンのようなやつ。タオル──といった発想なのでしょうか。私も毎日、2個ポケットティッシュ(丸富さんの)を使っています。

 でもヨーロッパに来ると、いつも質素に暮らしているなあと思う。食事も、家具も、洋服も。車はバンバン走ってるし、それが無くてはもう成り立たないというところがあるけれど、アシという感じで、本当に使いまくってる。買い替えるというよりも徹底的に使いまくるライフスタイル。良いですよね。反省させられます。

 本日夜、カミオン、トレーラーハウス、4×4、バイク7台積んだトラックで大移動し、車検場のあるヴァンセンヌのパーキングでビバークです。27、28日と2日間で全てのチェックを行います。懐かしい人たちにも沢山逢えるのではないかしら。


12月29日
いよいよ、車検です!

 パリ郊外ヴァンセンヌの森の特設会場にて行われる車両検査。車両が競技のルールに適しているか、危険な改造がないかなど審査される。合格車両はエッフェル塔までリエゾンにて移動し、そこで車両展示となる。そして指示された時間に従ってフランス北部の港町ルアーブルまで再び移動。車両はそこでフェリーに積まれ、ダカールまでの航海に向かう。→用語解説

ディナンからパリへ。

 車検会場のパリへ向かう為、ディナンを出発したのは、12月27日午前3時。予定は前日の午後11時でしたが、バイク、カミオン、4×4の全てにおいてメカ的にいろいろやっておくことがあり、大騒ぎでした。地元の人たちも手伝いにやってきて、ふとまわりを見ればなんと30人もの人。私も最後の確認で、念をいれて時間ギリギリまでかかりました。

 それにしてもディナンは良い町でした。パリに来ると、タクシー代ぼられたり(トランクにバッグを入れてもないのにその代金を要求される!)、電話代やカフェ代をごまかされたり(仲間のフランス人がチェックしていたので大丈夫!)、何となく、皆イライラしてるナーという感じです。ディナンは田舎町ですが、本当にあったかくて、皆ニコニコ。すっごくいい所でした。

 さて、車検は小さなバスとトレーラー2台(1台はカミオンより大きい)も加わってすごいコンボイで会場のヴァンセンヌの森に向かいました。私たちの車検そのものは28日だったのですが、その前の27日にやれることも沢山あって、TSOオフィシャルの飛行機に積んでもらうケース(衣裳ケースくらい)に必要なパーツを入れたり、タイヤを預けたり、書類の検査の半分がダカールでなくフランスでできたりと、結構パタパタと動き回りました。

 そういえば、私はニュースを見てなくて知らなかったのですが、やたら雨が降るなあと思っていたら、ヨーロッパ全域ですごいことになっていたんですね。死者が沢山出るほどの洪水。ヴァンセンヌの森の木は、実は半分折れちゃってたのでびっくりしました!風速120mと言ってましたが、長い間、どんな気候にも耐えてきたのだろうに、たった何日かの雨嵐でバッタリなんて──すごいですね。2000年ということもあり、やはり地球の変化を感じます。ディナンでテスト走行できたのも1日だけ、あとは全部雨。ブルターニュの冬は雨が多いそうですが、ちょっと多すぎます。

車検とそれにまつわるお話。

 車検日も結局雨。見学の市民も沢山いて、とてもいいムード。久し振りに知った顔にもたくさん出逢えました。いろんなラリーで知りあった人がパリダカに戻ってきている感じです。4×4の日本人も去年より増えているし、これは経済状況(フランスはすごく良いんだそうです!)と、2000年、ということが関係しているのでしょうか。

 27日の夜は、パーキングに陣取った「ブリタニィモト」のスペースでパエリアととっても美味しいユイットゥル(カキ。ディナンから持ってきた)とワインで楽しい夕食。訪ねてきた人も交じって、すごい盛り上がり。私もNHKフランス語会話で覚えた「河は呼んでる」とか、日本の人と「もみじ」を唄いました。とにかく、フランス、日本、チェコスロバキア、ベルギー、カナダ、と5カ国の人が心で通じ合って面白いのなんの!日本人以外は皆この車の中で野宿でした。

 私の夫はオーストリア製のKTMというバイクで、プライベートの人たちの為のサポートシステムを使って出るのですが、日本を出るのが29日、パリに着くのが30日なので、その車検のお手伝いもしました。オーストリアの人たちは皆英語ベラベラなのですが、あまりに完璧でさっぱり分からず、手間取る一幕もありましたが、全てOKです。

 とにかく28日の自分の車検はすんなり行くと思っていたのですが、結構ポカミスがあり、大笑い。ディナンを出る時に一番最後にサイドスタンドをモディファイする為の溶接をしたのですが、その時CDIユニットのコネクターを外しておいたのですが、それを接続しておくのを忘れていたようなのです。で、いざ車検となったらエンジンがかからなくて???かぶったのかなぁ、といろいろメカにやってもらっているうちに、「あーっ!」と気が付いたという訳。接続しなかったのはメカのミスですが、エンジンをかけてみなかったのは私のミス。メカニックのティエリーと共に反省!でもこの時、ほかに忘れていたことも気づいてラッキーでした。コネクターを接続するとエンジンは一発!その後の車検もチームメイトのシャンピオン君(フランス人)がずっと日本人3人に付き添ってくれて、スンナリ通りました。でも、一通り終わるとぐったり。オフィシャルステッカーを貼る、違反がないかのチェック、ヘルメット、救急セットのチェック、パーツリストの提出、オイルやタイヤ交換のサービスを受ける確認、といったことだけなのに流れが遅く、1時間半もかかります。

 また、この日は前夜の大雨のためにホテルで朝食が準備できず、バイクをエッフェル塔の保管場所に入れるまで全く時間がなく、午後6時になってからようやく口にできたのは出店のサンドイッチ。その美味しかったこと!
 

チームメイトの楽しいこと!

 やはりチームですので、メンバーは一緒に行動しているのですが、とてもユニーク。まず林業のピユリックさん(フランス人、過去7回出場で13位の経験あり)は、身体はあちこち痛めてボロボロですが、カタコト英語も喋り、とてもいい人です。速いが、どうやらミスコースの達人でもあるみたい。パリで整体に直行してました。

 シャンピオンさんは27歳。バイクにKODOKANだのKARATEだのステッカーを貼っているので、アレ?と思ったら、ナントという町に住んでいて、そこで趣味の「ジュウジュツ」をやっているそうです。黒帯も持ってるんだって。髪も五分刈り。美人の彼女の写真をしのばせていました。初めてのダカールで、3年の準備をかけたと言いますが、大笑いをするいい奴です。

 カナダ人のパトリック・トラハンさんは、車検会場で初めて会いました。仲間の雰囲気に後れをとった感がややあったのですが、すぐにうち解けて、仲良くなりました。彼はXR600。背が一番高く(このチームはみんな背があまり高くなくって400に乗ってる人は170cm弱が平均身長。ちなみに私は165cm。アンヨは片足しかつかず!)職業はまだ聞いていません。当然英語も仏語も完璧。

 ベルギーのパトリック・ルボンさんは、何度も一緒になってるので、本当に不思議な縁。「僕は皆のサポートをしよう」と言ってるけど、ウソじゃないかなと思っちゃう。250ccに乗るんだけど、少ない排気量に乗る人は、腕のある人なのですよ、ホント。普段の顔からして笑っている人です。

 彼の専属メカのパトリックは、いつもオーストラリアのウエスタンハットをかぶって、クロコダイルダンディが好きな人。英語がカナダ人の次にうまい。むちゃくちゃ明るくていい人。

 日本人の2人も初めてがこのチームで正解。だってホントに楽しいから。大阪の斉藤君は不安なことがあるとちゃんと聞いてきて、皆で考えることで、どんどん不安が解消していくみたい。最初はパリダカのややこしさ(多分一番ややこしいモータースポーツだと思う。手続き、システムetc)に面食らうのですが、今回のシステムは、ル・マン近郊在住の松本尚子さん(Teamスガワラで日野カミオンのナビとしてずっと出ている)が通訳で入ってくれて、とにかくスタートまでは手続きがとっても楽。そのことも大きいですね。

 もう1人の日本人、谷口さんは福井県初めてのパリダカ出場者。出発前には市長に表敬訪問とかもして大いに盛り上がったそうです(ちなみに今年はTOYOTAのチームアラコのメカニック2人も福井県出身らしいです)。ホームページには谷口君を応援する会の情報が出ているそうですから、こちらも見てください。「パリダカ」で検索すると、彼のページが一番多く出てるとか。バイク屋さんのオーナーで、子供3歳一人。娘と妻の写真をニコニコしながら見せてくれました。電話で「フランスに着いたよー。次はカイロで」という徹底ぶり。その気持ちもわかります。バイクはとにかくメンタルな乗り物なんです、ハイ。

 カミオンのチェコ人ナビ、27歳のラドバンさんは、X'masパーティ以来「マメ、ウシ、イモ」の日本語を覚え、ずっとそれを叫びながら走るので、メンバー全員にうつってしまいました。お皿に載ったメインのおかずを「マメ(インゲン豆)、ウシ(牛肉)、イモ(ポテト)」と教えてあげただけなのに・・・。彼は若いのにTATRA(タトラ)のトラックを改造する第一人者で、あちこちで引っ張りだこなんですって。ものすごい体力+腕で、一緒に来ていたチェコのメカニックと共に、それはそれはすごい実力をみせてくれました。どんなものでもとにかく直してしまう。一流ってのはこういうことね!と感心。27歳なのになあ。彼のお母さんが作ったクリスマスクッキーも美味しく、チェコに行ってみたくなりました!彼はここに来て、フランス語、そしてわずかな日本語を覚えていますが、どんどんうまくなります。そしてチーム1、笑う男です。大地が動くほど大笑いするのです。

 BOSSのクロード・チュアルも大笑いする人です。皆、こんな人ばかりなので、すごいチームです。メカのティエリーはまだスズキの店から移ってきて1ヶ月ですが、腕はすごい!明るい!完璧(コネクター忘れたけど)!allこいつらと一緒なら楽しいゼ!、という仲間です。この先、どういう展開になるかわかりませんが、彼らと知り合えたことで、大満足の私です。こういう時は結果もきっといいしね。all大好きな明るいイタリア人で組んだ1997年のダカールは、初完走だったし。完走はしなかったけれどベルギーの人と組んだ91年のダカールもいい人だったからこそ、いい想い出で残っているんですね。ラリーは決して一人で出ることはないので(スタートまでの協力ということも含めて)、人とのコミュニケーションが全てと言ってもいいと思うんです。
 

さあ、いよいよダカールへ!

 車検会場からエッフェルまでのコンボイは大雨ですごかったけど楽しかったー。ゆっくり走るつもりが、時間がないとかで、まるで東京の渋滞を抜けるスクーターのようにスルスルと走って着きました。ところが、ウエアやブーツのバッグが乗ったミニバスが会場まで来ないということがわかり、ブリタニィモトのメンバーは全員、アフリカの現場で使うダウンジャケット、スニーカー、Gパンか普通のズボンでのポディウム(お立ち台)のスタートとなりました。本番用の格好に近い斉藤君も、足元だけスニーカー。しかもみんなびしょびしょ。この先の珍道中を思わせる出来事でした。でも私はこんなのは平気なんです。楽しいなぁ。アフリカに入ったら一人で、SSで出逢えるのはほんの一瞬。皆とは逢うけれど、ビバークだけの会話となるので、こんな笑っちゃうようなことでも何故か愛おしいのです。

 またまた車検会場に話は戻ります。三菱の篠塚さんや、アラコの浅賀さん(バイク出身)や、女性同士のコンビの友川さんと浅田さんや、98年のいすゞの時にお世話になったスズキの屋上さん、そしてガンを克服して出てきた能城さん、2年ぶりの金森君など、四輪の人たちにも逢え、本当に嬉しかった。やっぱり皆、ラリーが好きなのですね。

 実は私、正式な出場選手リストを持っていなくて、一体全員で何人(TSOのホームページには出てると思うのだけれど)女性は何人とか知りません。ダカールの人間の検査(人検)の時に渡されるメモ帳に載っているのでそれで分かるのです。

 あ、そうそう前回のページでもお伝えしたとおり、私は#93、夫は#92です。ダカールではゼッケン順のスタートですので、夫が出た30秒後に私のスタート。リエゾンで距離計のメーターを合わせる為、K数を調整します(オフィシャルと自分のマシンの進む距離を合わせるのです。とても大切な作業)。その区間は一緒に走りますが、本当のSSスタートからは置いて行かれます。

 その一人旅に向けて、ここパリでも最終準備が残されています。本当は余裕があればオルセー美術館探訪というのも考えていたのですが、それは無理でした。でもハッと気が付くと、やっぱり白髪が目立つので(ディナンでは行けなかった)、思わず美容院に飛び込んでしまいました。暇が無いと言いつつも……。ちなみに夜はパリ在住のお友達と逢って日本食でもと思っていますが、まだ連絡とれません。一人でラーメンかしら。協力してくださった方の中に、ち産グループ関連の方がおり、その方の紹介でサントノーレ近くのホテルモンタボーという三ツ星にぜいたくに泊まっておりますが、部屋の中にはラリーウエアやグッズが散乱してます。いつもスタート前はこうなります。お掃除の人は多分びっくりしていることと思います。でも良い時間が流れていて嬉しいです。皆さんのお陰です。本当にいろいろとありがとうございます。あと12時間後には夫が来て、ダカールへと向かいます。

次の日記へ(12月30日〜1月6日)



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