1月19日
転倒するも、デューンはクリア。でも全開走行はキツイ!
第13エタップ 647km(ワハ〜コフラ/SS610km、リエゾン37km)
ワハからはリエゾンなしの出発。SS初めのタズーブまでは、比較的砂丘越えから外れたスピードコース。それからの200kmは選手にとっては全開走行ができる。ゴールとなるコフラの北に至るルートは、その手前から120kmの区間、砂丘越えとなる。オレンジ色の砂の海だ。砂丘群への入り口はオアシスによって印されている。問題は、正確な砂丘の抜け道を探すことだが、GPSを活用すること。これなしでは、非常に難しくなる。きちんとルートをトレースできるか、さもなくば、埋まったり、倒れたりすることで貴重な時間を費やすことになるだろう。※T−5は別ルート。
ラリー14日目、第13エタップのレポートは、現地時間1月19日夕6時30分(日本時間1/20朝3時30分)に入ってきました。
デューンでは何度か転倒、ガス欠も。しかし大きな問題はなく、無事ビバークへ着いています。
はーい、生き残ってますよー。
今日は午後の2時半には終わって(到着して)ました。でも決して早い方じゃなくて、実はトラブルがいっぱいあったのです。
パンクにガス欠!
今日はまずパンクのこと。スタートしたらみんなが後ろから「(タイヤが)ブレてるブレてる」って言うのね。実は、タイヤがパンクしていました。昨日はエアメカが来ない日で、私のチェックミスですね。砂が多い日だったので、ゆっくり走っていたのですが、(パンクに)気づく前にガス欠になりました。で、止まっていたら後ろから来る人が「ブレてるゾ」って知らせてくれたのね。タイヤの空気圧が減って、普通よりビックリするほど燃費が悪くてね。
後ろのタンクに12リットル入っているのに、何と110kmくらい走ったところでなくなって。給油ポイントの40km手前でガス欠になりました。2人が止まってくれて、そのうちの一人は昨日何と私がゴール手前1kmで助けた(ホースを渡した)その人だったのです。何てラッキーでしょう!その人は自分のガソリンもあまりないのに2.5リットル分けてくれて、それをペットボトル(水を捨てて)にも分けて入れました。その人とは、
「もし自分が止まっちゃったら、もう少しでゴールだから、キミが先にゴールして、その後戻ってきてくれる?」
と約束して、2台そろって走り続けました。何とその人は距離計算するICOを付けているんだけど、それが壊れちゃって、マップが読めないので、「ボクは君について行くよ」とか言って。排気量は何と600ccなのに速度は私とそこそこ(同じくらい)だったので丁度良かったんだけど…。
で、ゴールしました。でもハラハラだったので、ペットボトル0.5リットルを2本、ザックに入れてそれを背負って走りました。明日も背負います。
タイヤは替えるので大丈夫だと思うんだけど、砂丘で燃費が悪くなるため心配なので、そうします。
デューンで転倒!成績は…?
何てことないデューンで何度か転倒しました。最初は10mくらいの落差のところでね、越え方を忘れてるんだよね。スピードを出しすぎてて、そのまま行こうとしたんだけど、アクセルを間違えて閉じちゃって、で、コロリンと。「もっとスピードを落とせ」ってことを彼(夫の雅康氏)からずいぶんと教わったのに、すっかり忘れていて。それからはちゃんと走ったつもりだったんですけど…。
その後、すごく変てこりんなところで、勇気というか度胸が足りなくて、2回も変なコケ方をしてしまいました。もう1回は何てことないところで「スピードを出しててダァーン」というのじゃなくて、だらしなく「ズボッ」といってしまいました。
コケた時は、さっきのガソリンくれた人や、よく挨拶するカワサキのライダーがちょうどいてくれたりして、何とか乗り越えられました。ホント、何ということはないデューンだったから、きっと彼(夫の雅康氏)がいたらすごく怒られそう。「何してんだよバカ!」(笑)ってね。
実はもう一人、途中から加わって、道中3人で走りました。私はマップケースのマップが回らなくなっちゃっていて(モーターが鈍くて)、もう一人は距離計が壊れてるでしょ。で、よくあいさつする人は、ゆっくりのペースだったんだけど、マシンの状況は一番マトモだったので、その人にくっついて(笑)最後の30kmくらいを走りました。そんなカンジで助けられて抜けることができましたーっ。
成績は、ガス欠と転倒があったので、そんなに良くはないですね。暫定でSS99位。総合はまだ出ていません。池町くんは10位に。でも絶不調。ポンプが調子悪くて、最高速を出そうとすると、オォ〜ッと何度も止まって。その度にバイク倒して、ガソリン送って走ってたりしてね。今日は全開のコースとデューンだったんだけど、やっぱり排気量の大きいKTM、BMWにガンガン抜かれたそうです。それでもコンスタントにガンバッております。
知ってる人がリタイアしていきます。
今までにいろいろ助けてくれた人達が、リタイアしてますね。一番最初に、溝に落ちたクワドを一緒に助けてあげたりした人は、エンジントラブルで。私のヘッドライトを直してくれた人は、鎖骨折って。などなど、だんだんラリーが始まってからかなりの日が経ってるからね。で、何でもないストレートで、みんなよく止まってるのよ。ジワジワとマシンに負担がかかってきているんでしょうね。いろいろな人がみんないなくなっちゃって寂しいなぁー、というカンジですね。
あ、言い忘れてましたが、マーちゃん(雅康氏)のヘルメット、谷口さんがかぶってたって言ったっけ?そうそう、谷口さんは2回目にコケた時に、バイザーがなくなっちゃったのよ。で、そのままだったんだけど、そうだタトラにそれがある、って気づいて、「使って下さい」って使ってたの。非常に良かったみたい。
昨日、リタイア前の谷口さんには、砂丘の迷路みたいなところで、私が(谷口さんより)後に出たのに、そこで出会っちゃったんですよ。で、足で(笑)オーイ!って挨拶して。なぜ私より遅いのかなぁ…と不思議だったんだけど、そこでもう調子悪かったんだろうね。で、ヘルメットをかぶってる姿を見て、「あ!マーちゃんの頭が走ってる!」とか(笑)思いながらね。
コンディションは上々。
600km走ったっていうほど疲れてませんね。倒れるので疲れるっていうカンジです。今日も最後走りやすいガレ場があって、そういうところ好きでガンガン飛ばしてたんですが、その飛ばした後に、砂のでこぼこが出てきて、それをスピードを落としきれずに玉砕(笑)してしまうんですよ。マップにもちゃんと書いてあるのに、楽しくて楽しくて、前をよく見てないんですね。反省してます。明日は玉砕しないようにメリハリをつけて走ろうと思います。
それから目の方なんですが、なんと平気でした!疲れたのとホコリが入ったのとで、ああいう症状が出たのでしょう。でも1割方は残ってるってカンジだけど、ちゃんと見えてました。今日は砂丘だからホコリがないのですごく助かりました。
寒いからイロイロ大変です。
今日も寒くて、手はCP1までずっとかじかんだままでした。朝、スタート前までトイレに行くチャンスがなくて、どーしてもこりゃトイレに行かないとマズイと思って、一斉スタートの横で私はトイレしましたね(笑)アハハ(笑)。それも、しかも、並んで。そういえば今日最後に走った人が一緒だったんだ(笑)。3人が岩場のところで3方向向いてさぁ、お互い「見てないからねぇ」と言いながら(笑)。男の人はしゃがんでたから「大」ですよねぇ(笑)。
で、スタートしたんだけど、CP1でみーんなオシッコしてるんですよ。で私もしたかったんだけど、CP2までガマンだ!と思いながらCP2へ着いたら、もう山のようにリビアの人がいて(笑)!できない!
とうとうキャンプ地までそのまま来てしまいました。倒れた時にでも行きゃよかったと思いました。
高速全開走行はツライ!
今日、全開コースで一斉スタートだったのですが、私は全然ついていけませんでした。なぜかと言うと、私のマシンのスプロケットは44Tの低速仕様。他のみんなは42Tの高速仕様なので、私がどんなにがんばっても、全開走行だとついていけないのね。42T斉藤くんもやはりスーッと行ってしまいましたねェ。
どれだけの最高速にするかでスプロケットを設定するんだけど、私は砂丘とガレ場に合わせて低速仕様で行ってるので、この3日間の全開走行ってのは結構ツライワ(笑)ってカンジよね。
でも、まだこれからガレ場は出てくるので、私には合ってると思います。
リビアはやっぱりリビア。
リビアの人は相変わらず礼儀正しく、リビアの夕陽は死ぬほどキレイですね。ゴール近くでは子供達がカダフィのポスターをずーっと持って掲げてましたね。やはり、カダフィの国ですねェ。
男の人はたくさん沿道に立ってるんですが、女の人は見ないですね。あの歓迎の踊りの女の人くらいしか見てないですね…。
谷口さんのこれから。
さて、谷口さんには会えました。この先どうするかは決まってないそうです。ここから飛行機は出ているかどうか分かりませんが、カイロまで行きたいね、と話をしました。プレスカーとか席がないか聞いてみようと言ってます。飛行機とか車なら彼も全く問題ないので、もうあと何日かだから、カイロに行けたらいいよね…と。
人は一人では生きてけないのよね。
今日は今までの中で一番整備をしてもらってます。タイヤ交換。ヘッドライトのステーが折れて、ここに着いた途端、カウリングがガボッと落ちました(でも着いた途端だったからラッキー!)ので、その修理。その他もろもろ、少しずつあちこちで支障があるので、クロードのところと幸繁くんにやってもらってます。幸繁くんには、下回りも死ぬほどやってもらいました。ホント(死ぬほど)お世話になってます。走ってる最中も他のライダーにいっぱいお世話になり、帰ってもまたいろんな人にお世話になって、何を考え、何を思ったかというと、
助けられてるなぁ…と。
人間は、一人では生きていけないのヨ、と。
生きてもいけるけど、人とのふれあいなくして生きていく意味はないのヨ、とね。
つくづくそう思いましたね。
心配です。篠塚さん。
あ、それとね、重大ニュース。公式ページを見てほしいんですが、篠塚さんと他の3台がからんで、グシャグシャになったって。篠塚さんは病院!
私はジェスチャーで他の人から聞いたので正確ではないけど、とにかく速い4台が事故だって。篠塚さん、残念ながらリタイア。話によるとね、「落ちた」って言うのよね。落ちるところあったのかな?ってね、かなりのうねりやギャップはあったから飛んだのかなぁー。でもホント心配してます。ニアメイではあんなにお話できたので…悲しいです、ハイ。
はい、そんなところでレポート第1弾はこれまで。
この後、今日の第2弾をレポートします。
レポート第2弾
今日はボリュームたっぷりでお伝えします。
私のジャージは旅をしていたのです。
おととい私が増岡さんに預けたジャージは、旅をしていたのでした。増岡さんは私を捜していてくれたらしいんだけど、私が見つからなかったらしくて(キャンプは広いのよ。ずいぶん歩かないといろんな所へ行けないのね)。私は増岡さんの所へ行き、増岡さんいなかったので伝言しておいたら、今度は増岡さんが来てくれたんだけど、私が見つからなかったんだって。増岡さん悪いと思って、友川さん(三菱パジェロ)にジャージを渡して「悪いけど捜してやって」って。で、友川さんも相当捜してくれたんだけど、分からなかった、と(笑)。で、次の日のキャンプ地まで今度は友川さんの車に乗せて走ってくれて。結局スタート前に渡したジャージは、増岡さんの車でSSを走り、次に友川さんの車でSSを走り(笑)、そして昨日の夜、ようやく会えました。ありがとうございます。
このように、会えそうでなかなか会えない、というのがキャンプ地なのであります。
チームメイトのニュースです。
一番ケガがヒドかったシャンピオンくんは、まだやはり足が2倍くらいに腫れててね。彼には今、TVが取材に来ていました。彼はそれでも私より先に到着していましたね。彼とは初めから気が合ってたんだけど、スタート前は毎日「ガンバッていこう!」と気合いを入れてくれるのね。で、ゴールでは(再会でき、無事を確認すると)「よかったぁーっ!」と手放しで喜んでくれるのですよ。
フランスの林業の人は、ようやく体もマシンも何とか直ってきたみたい。みんな、ボロボロなりにバランスがとれてきました、というカンジですね。
斉藤くんは元気です。今日は何もトラブルなしです。でも、私も彼もガソリンの容量がちょっと足りないんだよね。彼もCP2のガソリン給油の1km手前で(笑)止まったって。それだけで、何にもなくニコニコと到着しております。前は、ケガしたり、ノドやったりしてたんですが、ここに来て(走れば走るほど)だんだん復活していますね。一番調子が良さそうですよ。
ブリタニィ・モトのタトラ(T−5)を使っているフランス人の2人は、優しくてすごくいい人なんですよ。で、一人は谷口さんをすごく心配してくれて、「カズはどうした?」って繰り返した人。もうびっくりしちゃうくらい心配してくれるんですよ。私たちにものすごく親近感を持ってくれているみたい。
もう一人の人も、最初の2〜3日はあまり喋らなかったんだけど、私と速度が似てるのよね。(ルート上で)何度も会って、仲良くなりました。クロードと私のイザコザの時には、英語で私を5分くらいなだめてくれたの。その場でね。そういう風にみんないい人たちなのよ。
そうそう、クロードにはおととい、誕生日プレゼントをちゃんとあげましたよ。彼はニアメイでは点滴を受けてブッ倒れてたのよ。それからずっと会ってなかったんだけど、ひそかに買ってあったプレゼントを渡したんですよ。あの寒い日、タトラの下にもぐっているクロードに「ハッピーバースデイ♪」と唄ってあげたの(プレゼントも)。そしたらすご〜い喜んでくれて。やっぱあげてよかっタ、と思いましたね。
砂漠とか砂丘はこういうカンジ。
今日の砂漠の様子をお伝えしましょう。最初は大きなうねりがある、一面砂、の状態なのね。そういう何もないホントにただの砂、というところもあるし、少しずつ風の吹き溜まりのような所に黒っぽい岩が頭を出していたり、そうかと思うと、小さな草が一面に生えている所があったりと、全く同じ様子ではないんだけどね。
で、地平線の果てまで、砂丘が見えたり岩が見えたり。360度ほぼ平らに近いような所が続きました。
そしたら今度は、全くの、ホント全くの(強調)平らが出てきたのよ(笑)。何もうねりがなくて、地平線の彼方にちっちゃく黒い点で、米粒よりも小さく走っているバイクが見えるのよ。陽炎の中にね。
砂ケムリもちっちゃくパッと上がっていてね。それがある時は1台、ある時は2台でむこーうの方を走っているのが見えるので、私も必死になってそこを直線でとろうとするのね。直線でとろうとすると、ちょっと外れたりするじゃない。で、向こうの方が速いから、いなくなっちゃうわけよ。で、あっちにいたよな、と思って走っていくと、アレレレ?!おかしいゾと。GPSを使ってるんだけど、70km先のポイントを示していたりするわけ。
今日の場合はもっと左へ左へ行けばピストがあったんだけど、アレー?と思っているうちに自分の感覚の中ではもっと右だったりするわけ。もっと右に人が見えてたはずだけどなーと思いながら頭の中がクルクルと回ってしまって…。5分くらい(ルートを)見失って走ってたんだけど、ようやく何とか目印が見つかったりして。真っ平らの中で道を外してしまった(笑)!
でも、またこれがすごいんだ。みんなね、真っ平らの所へバラッバラの方角からやってくるの。右や左や地平線の彼方からバイクが道へ集結してくるのよ。だから、みんな私と同じようなカンジで修正してるんだと思うけどね。4輪が来ると、トップクラスの人はビシーッとコースをとってくるんだけど、4輪は(2輪より)もっと道に沿わないで走ってくるから、あまりそれを追いかけるのは恐いんだよね(笑)。というわけで、面白かったよ、そこは。右や左のダンナさま♪ってカンジでね。
あとね、上の部分が真っ平らな山が見えるのね。山の上をスパーンと切ってあるような山が。高さが目で見ると3〜4cmなんだけど、実際はきっと3〜400mくらいの山がグワーッて地平線の果てまでずっと続いていてね。あれ登るのは無理だろうなぁ、と思ったりして。横から見たおせんべいみたいなカンジの山で、すごく不思議だったよ。あとね、砂丘の中でも涸川をいっぱい通りましたね。雨季になると川になるのか、昔の川なのかは分かりませんが、そういう所をいっぱい、ね。砂丘って、何もないように見えるけど、ちゃんと水の通り道があるのよね。
リビアの砂丘群は100kmくらいだったのね。あとは真っ平らでうねりがあったりするカンジで、地平線まで見えるのがとても多かったので、イメージとしては、一言で言えば、やはり「おせんべい」(笑)です。多分、みんなそう思っているでしょう。おせんべいを横にして見てみて下さい(笑)。
とにかく全体的に「おせんべい」だよね。ウン、ウン(一人で納得)。
実は肩こりがスゴイ。
私は肩こりがすごいのです。全開走行でしょ、今日はマシンがよれてたでしょ。前のカウリングが3〜40cm動いてたのね。
前はそれくらい左右に『ウィンウィンウィンウィン』とかしてて『ウワンウワンウワンウワン』と、もっとうねって、ずーっと走ってたのでした。直線のところは400kmくらいそんなカンジで。それを軽ーく押さえてるんだけど、押さえすぎるといけないし、押さえなければいけないし、という微妙なことをやっていると肩がこってしまっていたのでした(笑)。むしろ路面は変化に富んでいた方が体は楽かもしれませんね。
さて、明日もガンバルゾ。
今日はリビアの出国手続きをしました。いよいよ明日からエジプトです。最初からとても長いSSを走らなければなりません。大きな砂丘が出てくるというマーちゃんの情報(訳・解説)があったので、ギョギョッとしてます。
路面を見るとそんなに大したことなさそうなのに、いくつもデューンを超えねばならないらしくて、ちょっとビビっておりますが…。SS789km、リエゾンを合わせて852km!東京から一体どこまで行っちゃうかしら?広島くらいまで行っちゃうかしらネ(笑)。明日は確実に夕方になると思います。
とりあえず私のウデがヘタな以外は(笑)、何も問題はありません。自分のペースで1個1個砂丘を越えていきたいと思いまーす。また明日ね。
●今日の成績
SS/96位
総合/96位
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