◎1月16日〜18日

1月16日
リビアだ。待ちに待ったラリー再開!

ラリー開始から11日目。中断5日目はリビアのサバへ到着し、明日のリスタート待ち状態です。休息日の安定した気候と違って寒暖の差が激しいようで、「たき火」にあたってのレポートは、1月16日午後9時(日本時間1/17午前6時)に入ってきました。

 山村です。今日は衛星電話がなかなかかからなくて。聞こえてますか?はーい、それでは今日のレポートです。

踊りと音楽で迎えてくれました。

 1時間ほど前からリビアの音楽が始まっていて、今ちょうど中休みです。どういうことかというと、ビバークでリビアの人たちが音楽で歓迎してくれているのです。私はリビアの音楽というのを初めて聞いています。リビアの音楽は男の人10人くらいが中心になって踊って(女の人は2人くらい)いるんだけど、非常に面白いよ。太鼓と笛みたいなのと、手拍子と歌声なんだけど、まるで日本の学校でやるフォークダンスに、ロシアの座って手足をピョンピョンやるやつだとか、アフリカ音楽とか、ヨーロッパの音楽とかをぜーんぶ合わせたような「不思議な踊り」であります。リビアは社会主義国で、とてもキレイな国なんだけど、何かその踊りは「正しい踊り(笑)」ってカンジなの。
 今、手拍子がだんだん始まって…。聞こえるかしら。そのうち音楽が聞こえてくるよ。とてもカンジが良くって、みんなビックリしてるよ。
(音楽がスタート!)
 あ、始まりましたね。これは今風のミュージックですね。ギターと手拍子と女の人の歌と、踊りが入って。

寒いぞ!リビア。静かだぞ!リビア。

 実はね、今のコンサートもたき火にあたって見てるのね。ものすごく寒いのよ!で、零下。こっち着いた午前中は9度で、前の晩も零下になったということで、飛行機を降りた途端、みんな(半袖と短パンみたいなカッコしてる人ばっかりだったんで)ビェ〜ッ!寒い〜ッ!と言って思わず上着を取り出していました。私はシュラフにくるまって歩いていました(笑)。それくらい寒かったです。今、ちょっとたき火から離れたんだけど、一旦離れると地獄でございます(笑)。明日寒いだろーね、リエゾンね。
 みんな勿論寒さにもビックリだけど、何よりリビアの静かな環境に感心してしまいますね。周りに警官も一般の人もいろいろいるんだけど、騒々しくないのね。カドゥ(物乞い)もいないし、静かーな国。写真撮らせて下さーいってそのくらいで。とってもカンジいいですよ。同じアフリカとは思えない。豊かな国なのよね。
 ちなみに明日は7時頃スタートして、リエゾンを走って、SSを145km走ってフィニッシュなのです。みんなピリピリはしてないけど、寒さとバカンス疲れ(笑)があるので、コンセントレーションができてなくて、かえって危ないと。それだけをみんな心配してるね。
 私も何を着ていいやら迷ってます。太陽が出ると暑いし、ちょっとかげっただけでもう寒いし。その辺の微妙なところで、走ると昼間は暑いのかな、とか午後4時30分には日はかげっちゃうんで、それよりもきっと時間はかかるから、ウーン、辛いなあ…とかね。

ここ「サバ」は思い出の地。

 実はここ「サバ」は、とても思い出深いところです。1989年、初めてパリ・ダカールに出た時に、私はチュニジアから入ってリビアとの国境近くでリタイヤしてしまったのですよ。サバの街まで一般の車をタクシーとして借り、1日かけて旅をしたんですね。
 実は、サバの前のキャンプ地「ガダメス(チュニジアとの国境にある街)」に行ったら、選手たちはもう出ちゃった後。でも唯一4輪の仲間が残っていて、再会。思わず私はブイブイ泣いてしまったのでした。想い出の町なのね。選手はいなくて、悲しくて、大好きなパリ・ダカールでリタイヤして…。人生の転機ともなったのがこのリビアなのです。このリビアに、途中ワープして、また来れたことに感激しますね。
 今日の昼間はボーッとしながらリビアの風景を見つめてたんだけど、夕陽!これがまた素晴らしいのよ。今回来た中で一番キレイな夕陽でした。青い空が夕陽で黄金に染まってね。
 さっきもね、たき火にあたりながら、またリビアに来れるとはねー。人生もそんなに悪いものじゃないな(笑)とかね、思ったりして。(でも明日から地獄が始まるかも知れないのにね。)

リスタートを前にして。

 最初の飛行機は、2輪の人ばっかりだったのね(その後の機が4輪とプレス)。で、みんな割とノンビリしたから。ここまでビバークでみんな一緒だとほとんどの人と顔見知りになっちゃって面白いね。で、分かったのは、みんな体がボロボロ(笑)だったってこと。
 休息日の4日間はギブスをつけて、ここに来る前の日にギブスを外して来てるのね。つまりみんな手とか足のスジが切れているんですね。で、包帯で巻き直して、明日のリスタートに備えている、と。私なんか指にテーピングしてるだけなんで、何てラッキーなんでしょう!というカンジです。
 あ、音楽が聞こえますねー。女の人の雄叫び(笑)が聞こえますねー。「オロオロオロオロ♪」っていうね。
 今日は静かなキャンプで、パルクフェルメの前に整備はほとんど済ませているから、やることないみたいで。T−5のトラックもあるんで、整備もできるんだけど、どこにも発電機の音はしてなくて、何とも静かな昼でございました、ハイ。
 リビアは好きな国で、前の時はカダフィ大佐が直々にパレード参加して歓迎してくれたんですが、今回もみんなすごく歓迎してくれている、というカンジがします。
 この休みを終えて、みんなどうやってぶり返していくのか、一度ブチーッと切れた(緊張の糸みたいな)ものをどうやって繋いでいくのか、お互いに不安がってる(笑)。でもまあ、明日はどちらかと言えばカンタンな日なので、そこでうまくつなげていく、という事でしょうね。

ラリーでのリサイクルは。

 リサイクルの話。今回は車検時にスプーンとフォークとナイフのセットが配られたのね。スポンサーであるタイヤメーカーの「ユーロマスター」が1セットになったキャンプ用のしっかりしたやつを提供してくれて。今までは簡易のもので、1回ごとに捨ててたんですが、今回からはスプーンセットになりました。最初は使いづらかったんだけど、だんだん慣れてきて、みんなそれを忘れずに持っていって、それで食べてます。それに今回から食事の係の人達も、内容もシステムも変わったんだけど、すごくカンジよくって。例えば、配ったもので何も手をつけないもの(プリンとかチーズとか)を捨てようものなら「キッ!」とかいってニラまれて(笑)。そういう、モノを大事にしようという人達がやってくれているんで、みんなカンタンにモノを捨てないよう心掛けているカンジね。

ビバークは年々快適に。

 今回のビバークのシステムで、良かったのはもう一つ。学校にあるような対面式の、8人くらいがいっぺんに使えるような洗面台式の水道があったことですね。今日のサバは仮のビバークだからないけど、いつも必ずセッティングしてあるのね。押せばすぐ水が出る!シャワーもあるしね。不思議だったのは、前にもレポートしたトイレ。これがね、何日経っても中の量が増えないの(笑)。で、キレイなのね。いやー、なぜ増えないのか、それはナゾのまま(笑)。
 そのように年々ビバークはものすごく快適になってきてますが、ここサバの仮ビバークは、久しぶりに合宿っぽい雰囲気ですね。アシスタンスカミオンやエアメカが来ない日のビバークってカンジで、ベロベロってカンジの大ーきなテントが張ってあって、100人くらいのシュラフがゴソゴソ並んで置いてある状態です。フツーのラリーってそういう感じなんだけどね。ラリーっぽくてすごくいいですね。

カラダやマシン以外の状況です。

 今日、ヘルメットをチェックしたらキズキズでした。今回は南から始まっているんで、木や枝がルート上にたくあんあるのね(よけきれなくてバシバシ当たる!)。だから、ミラーの内側もヘルメットもそうだし、4輪ではサイドミラーがない、とかね。枝にやられた前半戦(笑)ですね。
 私はガムテープに助けられてます。一番役に立ってる!タンクの上に貼ってメモ代わりに使うとかね(チェックポイントの距離とかGPSの使い方とかをね)。あと、ダカールでの初日、お立ち台に上がる前、ガソリンコックを間違えていじってて(ラリー車には、前後それぞれにガソリンタンクがあり、それをポンプで調整してキャブレターに送り込んでいます)で、ガソリンが漏れてブーツに当たって、プラスチックの部分が溶けちゃったのですよ。で、ブーツは片方が5点フックになってたんだけど、今は両方合わせて5点フック(笑)!そういうわけで、毎朝ガムテープで固定して走っているのです。

食べる食べるこの二人。

 ニアメイの休息日でもそうだったんだけど、池町くんはものすごい食べるんですよ。大食漢。量がすごい。でも食べるのは早い!運動量が違うのかなあ。次に食べるのが斉藤くん(4輪の人も含めて2番目ヨ)。とにかく2人ともすごく食べますね。だから休み中に太ったでしょうね。
 今日の夕食はクスクスとかお豆とかの他に、ラザニア、スパゲティーなども出ました。とにかく食事は、いろいろメニュー豊富でいいですよ。

ニアメイでの買い物は。

 話は戻って、ニアメイでの買い物の話をちょっと。私はおみやげで200フランのものを買いましたが、ニジェールで普通の家族の1ヶ月の生活費が約500フラン(約10,000円)なんですって。そう考えると、ニアメイではいろんな選手がみんな買い物してくれたんで、街にすこしはプラスになったかなあ、と思いましたね。それとモメたクロードですが、明日クロードの誕生日なのね。ニアメイで小さな楽器をプレゼントとして買ったので、明日あげようと思ってます。仲直りです。

明日はどうかな。

 リビアは昨日まで雨が降ってたそうで、走りニクイというウワサ。明日はどーかな、と気になりますね。今は月が出てるんですが、ラリーが始まってからだんだん月も太ってきてます。今は半月の2日くらい(笑)前かな。明後日、明々後日、その次のここ3日間がヤマなんで、暗くなったら、この明るい月が出る中を走れたらいいなぁ…とつくづく思ってます。
 リビアに来て、今、私はフリースを着てますが、明日からは羽毛のジャケットを出します。ホントに寒くなりました。

チームメイト情報

 谷口さんは、寝てても立っててもちょっとツラいらしくて(痛い)、顔は相変わらず笑ってるんですが(笑)、ね、ずっと。「イヤイヤ、イテーッ」とか言ってウチのチームの連中痛がりながら、みんな笑ってるんですよ(笑)。
 多分、走りは(自分の体を守りながら)ちゃんといけると思うんですが、口には出さないけど苦しいんだろうな、と感じます。ガンバレーッってカンジ。
(谷口さんの会の代表の野村さんと40分も会話して事務局レベルで盛り上がったと伝えたところ)
 おかシーね、面白いね。そういうラリーの輪ってね。ラリーで走る人はひとつのコマなんだけど、メカにしろこういうレポートを作る人にしろ、いろんな関わりを持って大勢の人がサポートしてくれているのね。で、それが力にもなるんだよね。ありがとうごぜーますだ、ホント。
 さて、谷口さんも斉藤くんも淡々としてはいるんだけど、全然、今までのラリーと違うと感心してますね。ただ速いだけでもダメだし、いろんな要素があるねって。前半だけでも得るものは大きかったなぁ、と笑いながら話してます。とにかく顔つきが当初と全然違うね。楽しみです。
 私はテーピングだけですが、これってかばうだけじゃなくて、もちろん予防でもあるんだけど、治療にもなってることが分かりました。すごいね、テーピングってね。

 さぁそれじゃ、また明日、レポートします。お休みなさーい。


1月17日
やったねラリー再開!リビアの初日は、寒さとの戦いでした。

第11エタップ 469km(サバ〜ワウ・エル・ケビール/SS146km、リエゾン323km)

ラリー開始から12日目。再開初日はリエゾンと短いSSという肩慣らし的ルート。寒暖の差が激しい気候は、レースに影響を与えそう。1月17日午後8時30分(日本時間1/18午前5時30分)のレポートです。

 はーい、今日のキャンプ地で〜す。
 今日はちょっと疲れました。300kmのリエゾン(アスファルト)と、150kmのSSという組み合わせの楽な1日であるはずだったんですが、スタート時は絶好調だったのに、実はちょっとおなかを壊し気味なのです。下痢じゃないんだけどね、もたれるカンジで…ウーン…。痛ーいカンジなのね…。でも、全然平気(笑)。今もちょっと、そうなんだけどね。食べなきゃいけないし、食べるとちょっと痛い。でも下痢じゃないという、何かよく分からないんですけどね。

今日の競技状況は。

 道はね、ちょっとうねりがあり、石の多い、あちこちに亀裂の入ったような道なんだけど、みんな「全開!」っていうカンジなのね。私は全開にはできず、「守り」というカンジでちょっと反省しとります。結構危ない道なのにね、みんなガーンガン。いっぺんに10人くらいに抜かれてね、「パコーン」って。でもまあ、明るいうちに辿り着きました。
 今日の成績は、139台中、127位、というホントに最悪の成績。総合は111位、という状況です。
 谷口さんもガンバッて、今日は92位。スゴイ楽だったんだって。足を曲げたり伸ばしたりする必要のないルートだったからねって。全開でブッ飛ばしていったそうです。で、総合は128位。
 斉藤くんもブッ飛ばして、117位でゴール。総合は130位に上がりました。
 というわけで、みんな何とかガンバッておりまーす。

リビアは砂漠もあるけど、水も野菜もあるよ。

 リビアは朝日と夕陽が今までの中で一番きれいだね。ニジェールとか、今までは砂ボコリがすごかったのに、ここリビアは砂丘ということもあって、バオバオ舞う砂ボコリじゃないので(その為だと思いますが)もォー、とにかく朝日も夕陽も死ぬほどキレイです。
 朝、テントが初めてビショビショに濡れていました。砂漠なのにね。雨が少し降ったということもあるかもしれないけど、気温の差がね。夜は零下になっちゃうでしょ、で、朝日が昇ると、凍っちゃいないんだけど、濡れてビショビショってカンジで。でもそういう具合だから途中の街では砂漠なのに畑ができておりましたよ。すごくキレイな畑がね。
 サバから130kmくらいでやっと街に出たんだけど、そこからいくつもいくつも街が出てきてね。遠くから「あっ!オアシスみたい〜!」と思うと、ヤシの木みたいのとまぶしいようなまぶしいような緑が出てくるのよ。しかも水をスプリンクラーでシャンシャン回しながら青物野菜(葉もの)を作ってるのね。すごく面白かったです。防風林で囲った中で育ててってカンジですね。
 で、一軒だけ店頭の野菜売り(無人じゃなくて有人なんだけど)があって。野菜を売ってて、私は思わず止まりそうになりましたよ(笑)。

送電線に思う。

 300kmのリエゾンは、アスファルトの単調な道で、しかも360度地平線の砂漠状態!なんだけど、送電線が横ずっと一緒に続いててね。それが何かいいのよね。7本くらいの線があって、それが所々の街に向かって何本かずつ、また分かれていくのね。「人の暮らしと電気」を実感できてね。日本だと山の景色が悪くなるから「ムムッ」と思うんだけど、砂漠の送電線はね、「その先に人がいるのだな」という気がしてすごく良かったのですよ。
 あとね、アスファルトの上に陽炎が出ててね、ずーっと。なんかツーリングしてるみたいでしたよ。

リビアは寒いけど、いいところでして。

 で、今日はものすごーく寒い寒い。手がかじかんじゃってもう。ウェアの下に2枚着込んでったんだけど、もっと着てもよかったくらいリエゾンは寒くて。途中、み〜んなトイレに行ってて。止まってる時もエンジンに手をかざしちゃう(笑)。冬だよね、冬(笑)。水なんて一度も飲まなかったし。同じアフリカなのに、離れると違うもんだねーって。
 リビアの人達は、手を振ってくれたりするんだけど、とにかく礼儀正しい街なんだよなぁ…。手の振り方とかもね、そんな気がいたします。ビバークにもいっぱい来てくれるんだけど、みんな英語ベラベラだったりフランス語もOKで。握手を求めたり写真撮らせてくださーいってカンジで、(今までみたいに)何か盗まれる気がしないトコロですね。
 最初の方はアワのような砂だったんですが、このキャンプ地に来たところでやっとフツーの砂っぽくなってきたんですが、明日は砂のピストと、砂丘が出てきます。かなり難しい砂丘だと聞いておりますので、ホント、ドキドキしています。で、ドキドキしてるからおなか痛くなったんじゃないか(笑)と思います。ちょっとキンチョーしてるんじゃないか、と。リラックスしなきゃね。

4輪の話題は。

 さて、4輪の方の話を少し。まだ能城さんには話が聞けないんだけど(全然逢えない!)、能城さんの車のナビは、マーク・モラレスという有名な2輪出身(モトクロスかな)の人がやっているのですよ。話題ですよ。
(マーク・モラレス/昔、ホンダのファクトリーチームで選手として活躍したことのある2輪ライダーで、速い選手だった。2輪出身者が4輪のナビをつとめるという大きな流れがあって、その流れの一つでしょうね。山村雅康氏・談)
 友川さんにまた話が聞けました。三菱プライベートサポートシステムのところは今見てきたんだけど、サラミと生ハム、それにパスティス(水を入れると白濁するお酒)とウィスキーが飲み放題!!プライベートの人達はこれを飲んだり食べたりできるんだけど、「こんなに毎日は食べられないわよね。枝豆が食べたいワ」とか言ってました(笑)。
 でも、そういうのがくっついてていいよね。4輪の方はそんなカンジですね。いろんな食べ物が出てきてるようなのね。どのチームもね。

人間は同じトコロを目指す!

 砂漠は面白くてね。途中トイレに1回行ったんだけど、何〜もないところに唯一、送電線のところに木があったので、目を付けてそこにピューッと止めたら、何と空き缶が落っこちてる。
 あーんなに広いのに、トイレに行くとか、木陰で休むとか、日をよけるとか、ビバークするとかいうと、みんな似たよ〜なところに止まるんだなぁ…と感心するのね。
 そこにはビバークした跡とかいろいろあってね、あんなにいっぱい(360度!)場所はあるのに、大抵決まったところ(トイレとかね)に人は行くのですね(私もそうでしたしね)。今も地平線の果てにここなら見えないかなーと思ってトコトコ歩いていったら、人影が!(笑)あっいたいた!なんてカンジで鉢合わせてしまうくらい。 同じところを目指すのですね。衣・食・住ってのはそういうことらしいね。

パリダカは不思議だよね。

 さて、レースはこの3日が勝負だと思うんですが、さっきまで池町くんとずっと話をしててサ。
 彼は13位だったんだけど、今日はちょっと下がるかもね。単調な道での全開走行だから、排気量の違いで差が出ちゃうからね。だから35位くらい。あまり良くなかったのね(あまり良くないって言ってもスゴイんだけどね)。ただのピスト、ただの直線を、ただ飛ばすだけだから、大排気量がみんな勝っちゃうという変なコースだからね。
 それで、「ホント、完走したかしないか、だけだもんね。」って言ってたの。
 どういうことかって言うと、パリ・ダカールに出てると、いろんな人が(プレスも選手も)「何回出たのか?完走か、そうじゃないのか?」と聞かれるばっかりで、「何位だったか」は聞かれないんだよね。他のこういうラリーに出てたって言っても、それも「何位だったか?」という質問じゃないの。
 パリ・ダカールは面白くて、モータースポーツなのに、1位以外は完走したかしないのかだけ(笑)なのかな、と。みんなリスクがあって、転んだり、ケガしたり、ビョーキしたり…今日チームメイトのフランスの林業の人は風邪で具合悪くて、メディカルで点滴受けてるらしいのね…そんな風になったりするわけじゃないですか。だけど、それでも完走したのかしないのか?なの。何位?っていうよりは、それぞれ速い人遅い人いるんだけど、完走かどうかが大事だ、というような、不思議な競技だなぁ、と改めて2人で話をしていたのでした。

さて、明日に備えて。

 おっとお腹が痛いなぁ…。何だろうなぁ。これはホントにキンチョーしているのかもしれません。私にも分かりません(笑)。ショウガとかいろんな薬を持ってきているんですがねー…。とにかく寒くて!!今、何を着ているのかを解説しますと…。
(上)スポーツ用の銅線の入ったウェアを着て、その上にフリースを着て、さらに半袖の襟付きのフリースを着て、ブリヂストンのジャンパーを着て、ボワボワのチームジャケットを着ています。
(下)スポーツ用の銅線の入った、ウェアに、裏起毛のパンツ、分厚い冬用のヒザまであるソックスをはき、ホカロンを2個。
 …なのに寒い!!風邪をひいてお腹に来たのかな?もしかしたら。リエゾンでね、みんなどこか悪くしてるよね(ノドが痛い、とか風邪だ、とか熱がある、とかね)。
 あまりにもその前の温度差が激しすぎるからね。この間まで泳いでたのに、いきなりマイナス気温だから、体もビックリしてるんだと思うんだ…。この気候は、エジプトまで基本的に似たようなものですね。これからは寒さとの戦い(笑)よ!ホカロン使うか使わないか、悩んだんだけどね。幸繁くんにもさっき渡してきたけどね。
 今日はタイヤ交換をしました。ヘッドライトも点けてみると容量の関係で不安な部分があったので、いろいろやってもらおうと思ってます。
 とにかくとにかく、明日も明るいうちに(戻ってこよう)と思うんですが、3時くらいにはもう暗くなってくるのよ。月はだんだん太ってきましたが…。今日帰ってきたのは2時半くらいかな。でもなんか夕陽だな、ってカンジなのよ。4時っていったら暗〜いの。
 明日は朝5時20分にスタート。私は6時半過ぎくらい。で、寒いから何か着たいけど、昼は暑そうだし、夜は寒いだろうしなぁって、ナカナカ悩むんですよ。とにかくこの3日間をどう生き延びるかということで、楽しもうという気持ちはあるのだが…腹がイテエッす(笑)。
(大丈夫ですか?との問いに)
 大丈夫大丈夫。なんてことはないんだけど、何かあった方が面白いでしょ(大笑)。

 こちらはそんなところです。そちらからは何かある?
(ホームページのいろんなメッセージを伝えました。谷口さんの「米を持ってきた」お兄さんからもメッセージが届いてますよ、とか、タンバクンダで出会った協力隊の女性から、とか)
 なーるほど、ウレシイね。みんな、ありがとうございまーす。ガンバルゾー(笑)。暗くなっても帰ってくる。とにかく帰ってくるゾー(笑)。
 明日はエアメカが来ない日だから、その前の日ということで(エアメカが来ない日ってのはエアメカの連中だけで別にどこかに泊まっているのね)、あちこちでまだまだトンカンやってますね。
 あ、そうそうスタート前に2枚着ていたジャージをそのままにするか1枚脱ぐか悩んでたんだけど(距離が短いんで戻るのは夜にはならないことは分かっていたんで)1枚脱いで、でも置く場所がないなあって思ってたら、ちょうど三菱の増岡さんがいて。「持ってってやるよー」って言うから「ありがとう!じゃ、ビバークに取りに行くね」ってお願いしたの。さっき食事が終わってから三菱のワークスのところに取りに行って、増岡さんは?と尋ねたらいなくて!(笑)オーイ!私のウェアはどうなってしまうんだ(大笑)と。ま、予備のを着ながら、と。頭の中でウーム(笑)とか思いながら…。そんな状況で、明日も行って来まーす。ガンバリまーす。


1月18日
コンディションは上々、しかし不安も。デューンは問題なくクリア。

第12エタップ 661km(ワウ・エル・ケビール〜ワハ/SS657km、リエゾン4km)
 砂の長く、そして石のステージだ。SSはとてもエキサイティングだ。それは、かなりのハイスピードと長い直線から構成されているからだ。180km地点を過ぎると、休火山の素晴らしい風景に出会える。クレーターの中程に湖とオアシスがあるのだ。それは非常に荘厳な眺めだ。選手がクレーターの淵を進むと、チェックポイントはそこに設置されている。正に、感嘆の風景だ。SS最後の100kmは、ワハの石油採掘場までブラックマウンティンに沿って走るが、おおむねハイスピードで2〜3の砂丘越えも出現する。輝く砂と、ブラックマウンティンとが作り出す色の対比が素晴らしい。※エアメカの来ない日。T−5は別ルート。

ラリー13日目、第12エタップのレポートは現地時間1月18日夜8時(日本時間1/19朝5時)に入ってきました。お腹の調子も良くなり、デューンの難易度も恐れていたほどのレベルではなかったようで、元気な声でレポートしてくれました。

 山村でーす。大丈夫だったよー。

体のコンディションは。

 お腹はね、今日は良くなりました。何か変なモノ食べたのかも知れないし、それとも心配だった(キンチョーして)のかなあという気もしております。ショウガを飲んで薬を飲んで、朝起きたら、元気になっていました。走り自体も自分としてはすごくよかったよ。
 で、走りは良かったんだけどね、途中、目が見えなくなった!(笑)左目はいいんだけど、右目がねぇ…。何かホコリが入ったのかなぁ。ゴーグルの内側って、どうしてもホコリが入っちゃうんだけど、中をよく拭いたりしてたんだけどね。
 右目が雲がかかったように…白内障ってこういうカンジなのかもしれない(笑)…とにかくかすんでるのよ。とにかく左目だけで走ってて。「見えないなアーッ!」って。昨日からそういうカンジはあったんだけどね。
 で、今はどうかというと、メディカルに行って点眼をしてきましたところ、「くも」は取れたっぽいのね。でも焦点が合わないのね。左目だけで見ると焦点が合うんだけど、右目を使うと合わない。これは、長距離を走ってるからこうなっちゃうんだよね。ずっと近くのマップを見て、遠くを見て、ホコリがあって、の繰り返しだからね。他の人は平気なのかしら?
 まぁ、そうは言っても左目だけでも走りますよってカンジで。へへへ(笑)、大丈夫でっせ。

ブリタニィ・モトは満身創痍。谷口さんはまだかーっ?

 メディカルに行ったら大笑いでさぁ…何とお客様は全部ブリタニィ・モトなんだ!(笑)ついに、シャンピオンくんは、足の手術をしていました。麻酔なしで。ヒザから下をケガして、ずっと包帯巻いて走ってたんだけど、足首に血が溜まっちゃってたんだね。で、メスを入れて、「ピューッ」って血を出してたよ。カワイそうに。また包帯だらけになって、今横になってるんだけど、明日、走れるのかしら…。だってギアチェンジができないって言ってたよ。カカトでギアチェンジしてるって。
 斉藤くんはトラブルなしでOKだったみたい。で、谷口さんがまだ帰ってきてません!途中、4輪の人に聞いたら、CP2を過ぎたあたりで止まっていた、と。でも行っていいよと手を振っていた、と。本人はどうもエンジンを見ていたようだ、と。CP2はガソリンを入れるところなので、ガス欠ではないでしょう。多分メカニカル的なトラブルがあったんじゃないかなぁ…。今はほとんどの選手が帰ってきてるんだけど、谷口さんは…とても心配です。
 チームはもちろん、他の人達もみんな「カズはどうした?」って心配してくれてるんだけど。オフィシャルに聞けば、何らかの連絡はとれているのかもしれないけど、今のところ、まだちょっと分かりません…。
 フランス人の林業の人もノドと頭が痛くて点滴を受けて、今日もメディカルにいたし…ブリタニィ・モトの箱だけ借りてる人も「頭が痛くて」とか言って、ふと周りを見渡すと「ブリタニィ・モトの人ばっかり」で(笑)おかしかった。

キビしくはなかったデューン。でもバイクを起こすのは大変だった。

 今日はね、(景色が)すごいキレイだったよ。マーちゃん(夫の雅康氏)が訳・解説してくれたエタップごとのコメントにもあるように「火山のところのオアシス」がものすごいキレイでした。で、キレイなんだけど、見る余裕がなかったのね。一瞬、3秒くらい(笑)見ただけ。だって止まると(砂に)埋まっちゃうんだモーン(笑)。
 デューンはね、何てことないデューンだったの。恐れていたデューンは大丈夫で、それが終わったところで一瞬ホッとして、その前を行くバイクをチラッと見ちゃったら、路面を見るのを忘れてデェ〜イッ!と転倒したのよ。その転倒も何てことないんだけど、だーれも来ないしさ。起こそうと思ったんだけど変なコケ方したもんだから、なかなか起きないのよ。どーしよう!と。ガソリンがないのに倒しちゃって…。
 今日はガス欠の人がすごく多くて、私もリザーブで走ってたくらい。後半もデューンが続くとすれば、ガソリンがちょっとしかないのに倒しちゃって(弱ったなー)と思って。ウアーどーしよう!誰も来ない!誰も何で来ないんだバカヤロー!とか言いながら(笑)ですね。ウヘーッ!と起こして!(笑)死ぬ気になったら起きるものだわネ、とか言いながら(笑)。
 砂のところなので、グローブをスタンドの下に敷いて、かからなくなった時の教えの通りにやって、ようやくエンジンをかけ(すごく時間がかかったけど)ました。ちょうどかけてたら、後ろからTVクルーが来てさ。砂丘の上からその様子を撮られている気がする!とか思いながらもね。誰もいなくても起こせたし、誰もいなくてもかかった。良かった良かったと言いながら、リスタートしました。

ガス欠の人を助けました。

 ゴール手前1kmのところで、ガス欠で1人止まってたの。かわいそうだから助けちゃった。それで10分くらい止まっちゃった。明日は我が身、と思いながら。私は旅なのよ、というカンジで。やっぱり「ガソリンくれェー」とか言ってるとかわいそうだな、と思って。でも結局あげられなかったの。私はガス欠になった時のためにホースを付けてあるんだけど、私のガソリンもあまりにもなくって、そのホースが届かなかったのね。で、そのホースを渡して、私は先に行って。でもその人もすぐ来たんで、誰かからもらって大丈夫だったよ。
 まぁ、そういうわけで珍道中(笑)ですよね、やっぱり。

「単調で寒い」けど「キレイ」なリビアのコース。

 今日はまたもや「全開走行」で池町くんは泣く!という状況で、排気量が大きいマシンが有利でしたね。コース自体、(単調で)あまり面白くなくってね。600kmを走ったとはとても思えないのね。雰囲気的には200〜300kmを走ったようなカンジ。
 で、寒い。下に2枚着てるけど寒い。運動になるようなコースはまだ良いんだけど、(さっき言った)真っ平らな全開コースは、寒いワ寒いワ。なんと水は1滴も飲まず、ですね。しかもCP2でガソリンを入れる時、初めてSS中にトイレに行ってしまいました。それくらい寒いっス(笑)。びっくりしました。
 でも景色はすごい。リビアは…なんか好き。とても不思議なところでね。今日の夕焼けもそうだけど、何度見てもキレイですね。砂丘が終わって、真っ平らになったところでちょうど青空の中にお月さんがフッと出てて、その前をオートバイが2台シューッと走っていって。それもまたすごくキレイだったな…。

明日をどう走るか、というコト。

 砂丘も難しくなかったので、ホッとして、胃の痛みも治まり…(笑)というカンジで明日をむかえます。明日はものすごく難しい!コースだと言われてたのね。でもインフォメーションでは、そんなにひっくり返るほど難しくないんじゃないか、と。100kmくらいの間に大きな砂丘をまっすぐに越えるカンジで、いくつもいくつも出てくるって。だから、1km進んだらポロンと1個(砂丘を)越えて、また1km進んだら越えて。そんなカンジだと思うんで…大丈夫だと思うんですけどね。とにかく明日がホントのヤマ場(笑)。ガンバリます。
 あ、明日は一斉スタートなんだって。砂漠の広ーいところでスタートなので、3グループくらいに分けて。トップ集団、と何番まで、ってカンジで分けられて。私は最後尾ですけど(笑)。
 今日の順位を報告しておきますと…。ちょっと待って、今ライトをつけます…。今、先に着いた人は(私も含めて)格納庫にいて、暗くてね。エー、私は何もしないのに(笑)順位は上がりました。暫定ですが、SS/99位、総合/102位です。上がってるね。斉藤くんはSS/109位、総合/118位と、そういうカンジです。暫定ですので「何人中」というのがまだ分かりません。
 とにかくガス欠の人を助ける余裕はないはずなのですが…でもサ。明日の成績も大切だけど、目の前で泣いている人をワタクシは、できる限り助けてあげようと。今回はずっとそういう風にして走ってきているので、貫こうと思ってまーす。成績悪いけど、許してね(笑)って。

 何かありますか?
(メッセージボードの内容を伝えたところ)
 ありがとう。とにもかくにも元気でやっておりまーす。
(目の心配はあるけど)
 じゃ、またねー。お休みなさーい。

●本日の成績(公式発表)
 SS/99位 総合/102位

谷口さん、リタイア決定…

山村雅康氏より連絡が入りました。(日本時間1/19午後2時30分)
 今、現地はスタート前のバタバタした時間なんですが、谷口さんから連絡がありました。以下、谷口さんのコメントです。
「いろいろあってリタイヤすることになりました。リタイヤの原因は、足の具合がちょっと悪いことや、オートバイの調子が悪いことなど、それらが重なったことです。体は、今は何とか元気です。これからどうするか、帰るまでラリーと一緒に行くか、ここ(リビア)から帰るようにするかは決めていません。いろいろありがとうございました。」
…残念です。より詳しい情報は、入り次第お伝えします。

次の日記へ(1月19日)



Copyright 2001 Fairy Tale, Inc. All rights reserved.