◎1月7日〜9日

1月7日
は〜い、今日も無事ゴールです!でも「エッ!」というニュースも!!

第2エタップ 359km(タンバクンダ〜カイエ/SS212km、リエゾン147km)
 セネガルからマリに入る。SSの前半は走りやすい赤土ハイスピードコース。スピードコントロールに注意が必要だ。後半はトラックが走行するのがやっとという程度の細いピストになる。SS終了後はオフロードのやたらに長いリエゾンでセネガル川を渡りマリへ入国する。気温はかなり高くなる。※エアメカの来ない日。

ラリー2日目、第2エタップのレポートは現地時間1/7夜9時スギ(日本時間1/8朝6時30分)に入ってきました。今日はなんと電話口に山村雅康さんが初登場。でも雅康さんが登場したのには理由があったのです‥‥。

 今日は距離が短くて、その意味では楽だったんですが、それなりに難しくて、カタい路面だとかギャップだとか、いっぱい出てきて、周りではすっ飛んでいる人がいっぱいいました。とりあえず今日、私は大丈夫だったんですが‥‥エー‥‥実はマーちゃん(夫の雅康氏)がリタイヤしました!本人と替わりますね。(電話を替わる)

(雅康氏より)
 悲しい知らせがあります。今日は第2エタップをちゃんと走ったんですが…。(リタイヤの)経緯を説明します。きのう第1エタップで転倒しまして、ちょっと初っぱなから(勝負を)意識した走りをしていたんで、調子に乗って走ってたら「そんなに甘くねーぞ」というカンジで転んでしまいました。背中を強打しまして、その時はすぐリカバーしてそのままゴールまで着きました。オーガナイザーのドクターに診てもらったら、そんなに心配ないんじゃないか、という診断。今日1日は距離が短いから(骨折してるかもしれないけど)走ってみてごらん、というカンジだったのです。
 で、今日走ってみて、も〜ぉ痛くてどうしようもないんですよ。肩胛骨にヒビが入ってるんじゃないかと思われます。これからパリへ行って病院に行く予定です。2日間でおしまいになってしまいました。これもパリ・ダカールだと思います。
 明日、飛行機に乗せてもらって、バマコからパリに行きます。今後どういう予定になるかは、ちょっとまだ分かりません。またボクの方からも連絡します。
 でも、しょうがないですよ。これもパリ・ダカールですから。生きてるだけでも良かったね、と。はい、それじゃ替わりまーす。(電話を替わる)

 はーい、しょうがないですねぇ。皆さんの期待を…ウゥゥゥッ(涙)。体が悪くてリタイヤするってのは、よく考えたら彼は初めてだったんだって。今まではバイクが壊れる方が多かったんですよ。体が悪くて、っていうのは初めてだけど、結構諦めがつきやすい、って言ってたね。
 私のサポートなんてとてもできる状況じゃないし、ネジも締められないようなカンジなんで。バイクを起こせないし、降りられないし。それじゃあ危ないからねぇ…。で、私は一人になってしまいましたが、ゆっくりゆっくり、というカンジで(今日もゆっくり走ってたし)、ま、コケなきゃ、ね。

 でね、今日は無転倒ですよ、一応。無転倒!(強調)。さっき成績が貼ってあったのを見たら、2日間の総合順位でマーちゃん(雅康氏)が148位、私が150位くらいだと思います、多分。これは、下から数えるとどれくらいかな、エート、30番手くらいじゃないかな。このまんまで行けば、きっとビリじゃないな!(笑)。このまま人が少なくなっていけばね(笑)。とりあえず、今日のような堅い穴ぼこだらけの道が、これから何日も、割と続くので、まぁブッ飛ばないように、気を付けて…。

 それから、車に追い越されるのも、ものすごく危ないのね…。車が走ると、砂が舞い立つわけですよね。それでとにかく前が何も見えなくなってしまって、それで転ぶ人もいるし。私も後ろから来た4輪を「はい、それじゃよけよ〜ね」なんてよけたら、昨日1回転んで。今日も「よけようね」なんていったところに立木があって、ボーンとぶつかったりして。とにかく車をよける方が神経使うかな…という具合。前、私が完走した時と同じような道なんだけど、そういう「抜いていくのが難しいような道」が今のところ続いていまーす。

 女性は4人走ってます。その話、してないですよね。全部国が違うんですけども、一番速い、ワークスのBMWで去年も一位、おととしもずっと一位を走ってて途中でリタイヤしちゃった人。この人が一番速いんじゃないかと思うんですけど、実はまだ見てないんですよね。あと、KTMに乗ってるポルトガルの人。もう1人、フランスの女の子が250で出ていて、この人は2人娘がいるのよ。で、みんなすごくカンジのいい人ばかり。ポルトガルの人も3度目の出場で(2度リタイヤ)、とっても速い子なんだけど、出るたびにバイクが大きくなって今回はKTMの660。男性のサポートと共に走ってます。250の子は1人で走ってるんだけど、結構速いんですよ、すごい。多分みんな私より上だろうな。私は「転ばないゆっくり運転(笑)」で。夫がいなくなっちゃったからなおさらのこと(笑)転ばない!転ばない!とそれだけを祈ってですね、走ろうと思ってまーす。

 とにかく、今日はとっても(距離も時間も)短い日だったので、全員がシャワーを浴びて(私は浴びなかったけど)、暖かい日差しの中でちょっとノンビリした…ノンビリというんじゃないか、整備できる時間がいっぱいあって。でも明日からは距離が長くなるので、多分だんだん辛くなってくると思うんですよね。ホントにね…。
 今空を見上げても、いつもは星がウアーッと出てるんですが、出てないのね。曇りっていうカンジで、走っていても暑くなくって。これだけはとてもラッキーかもしれない。ホント。

 日本の男性ライダーのことを言うのを忘れていました。初日は夜中の1時くらいに帰ってきました。今現在は二人とも非常に元気なんですけども、斉藤さんは転んで、どうもその時、かなりの記憶喪失になってしまったらしいんですよ。
 谷口さんはSSの途中で、4輪に抜かれる時に横によけきれなくて(よけたくてもよけられないような所ってあるんですよね)そこで抜かされる時に車と接触事故を起こして。もう車の方が絶対悪いんですけど。そういう抜き方したらホントはものすごいペナルティなんです。結局、車とぶつかってフロントフォークが折れた!折れたというか抜けちゃったんですよね。で、後ろから私たちのT−3という競技車両のアシスタンス(社長)が走ってきてるんですが、その社長と出会って、応急処置をして、180kmをずっとそのまま走ってきて。3台で走ってきたらしいんですよ。で、夜中の11時に着いて、それでバイクは直したんだけども。
 谷口さんの方は体の方は平気で、バイクだけがグシャっていってて、それは元通りに直して。斉藤さんは何度か転倒があり、記憶の方も当日の記憶はかなり無いみたいなんだけど、2日目の今日はちゃんと走って帰ってきて。明日も多分大丈夫。走れるでしょう。…でも、ボロボロ。
 私たちのチームではカナダの人が1人、リタイヤしました。悲しげでした。夫と一緒の車で運ばれていくということになりました…。現場になってみなきゃ分からない、というようなことがホント、山のようにありますが、「私は私で走り抜くゾ!」というカンジでガンバリま〜す!

 3日目のスタートは7時15分。明日も同じような路面なので、穴ぼこに気を付けて…。あ、でも昨日言ってた指の方は、私のかかりつけの先生から教えてもらったテーピングでバッチリでした。随分良くなってきたんで、このままバイクも軽傷だし、というかほとんど問題なくて、私の体もこんな具合ですから…。他の人を見ると、片足を引きずっていたり、可哀相なくらい目が腫れていたり…。もうみんなヒザをやっちゃってるんですね。私、ヒザは強化していったんで、ものすごいヒザあて、ものすごいプロテクターなんだけどね。これでもヒビが入ってる状態。(笑)

 はいっ。それではまた明日レポートします!


1月8日
「無転倒」「ミスコース」「花観賞」「介護」etc…いろんなことがありますねェ。

第3エタップ 711km(カイエ〜バマコ/SS245km、リエゾン466km)
 マリの首都、バマコへ向かうエタップ。前半はいくつかの村を通過するので走行に注意が必要だ。ブルク・ド・バウル国立公園に沿うような形でSSが設けられる。後半は風景が一転し、これがアフリカのサバンナというようなルートで、緑の濃い低木地帯を走る。SS後のリエゾンでニジェール河を渡りバマコへ至る。

ラリー3日目、第3エタップのレポートは現地時間1月8日夜12時過ぎ(日本時間1月9日朝9時20分)に入ってきました。いろいろなエピソードがあった1日のようでした。バマコ到着は夜の9時。いつもは早朝にかかってくる電話がなかなか来なくて、ちょっと心配になりました。

 山村で〜す!遅くなってスミマセン。だいぶ前に着いてたんですが。大丈夫で〜す。
 今日は到着も遅くて、午後9時くらいに帰ってきたのかな。で、リエゾンが非常に長くて(420km!)。チームメイトのシャンピオン君が、スタンドが落ちたりとかエアクリーナーを交換してたりとかして、で、スタンドがないからバイクを支えてあげなきゃいけないんで、一緒にいてあげたりしていたのでした。そしたら暗くなっちゃった(笑)。

 SSも全く問題なく、今日も無転倒で!(笑)今日は結構ね、昨日と同じくらい楽は楽だったんだけど、コースの中にすごいガレ場の登りみたいな下りみたいなところが(短いんだけど)結構出てきて。そこでギャップもいっぱいあったりして、そこで、んー15台くらい、転倒してたでしょうか…。仲間も二人くらい、同じ場所でやっちゃったりしてね。ちょっと油断するとすぐひっくり返っちゃうような所なのね。
 朝ちょうどスタート前に話をしていた人がいて、その人は97年の時に一晩中一緒に走った仲なのね。「97年はあんな事があったね〜。懐かしいねぇ…」なーんて話していたんだけど、その人のKTMもそこに落っこちていたのでした。結局その人も骨折してリタイヤしちゃった。指示の出ていないギャップがいっぱいあるんだけど、そういうのでひっくり返って。
 ちょうどヘリが来るまで、谷口さんの前を走っていたんで、谷口さんもそこにいて、みんなで「大丈夫〜!?」って言ってあげたりしました。

 それと私はナント30分くらい、ミスコースしちゃった!(大笑)何てことないところなんだけど、フツーに行こうとしたら前から戻ってくる選手がいて、「違う!」というカンジでまたブアーッと違う方向へ行っちゃったんで、「アレ?違うのかな…?」と。
 で、ホントはそんなのにくっついてっちゃいけないんだけど、ま、とりあえず行ってみるかと(そっちも立派な道だったんで)そのまま行ってたら、またその人が戻ってくるのよ。で、また「違う!」って。「エ〜ッ!」ってカンジで、みんなはまたその人にくっついてったんだけど、私はじゃあさっき行った方にもう一回行ってみようと思って、だいぶ行ったら、こりゃ全然違うわ!ウヘ〜!(笑)
 それで、一人だったんでね、また戻って、追いついて。30分くらいのミスかな。でも面白かったよ。一人でずっと、誰も来ない所をズンテケズンテケ走ってさぁ。何だかツーリング行ってるみたい、とか思いながら(笑)。「ここでアセッたらいかんのよね」とか思いながら…。一人で道を捜すっていうのも面白いのですよ。チュニジアラリー以来だね(笑)。

 この間も話したけど、ホ〜ント、花が綺麗なのよ。ピンク色の低木の花と、日本で言うと…何だっけ、あの春に咲く白い…エーと、木になるやつ…そう、「コブシ!」。
 あのコブシの真っ赤なやつ(笑)。で、大きな木。低木のやつはピンク。しかも、ショッキングピンク!すごい綺麗なんで、近くに戻って止まって見たいなあといつも思いながら…結局走りながら見るしかないのよね。
 チョウチョも飛んでいるしね。冬なのに暖かいんだな…というカンジで。すごく気持ちよく走ってます。そういうのがちょっと途切れると、ギャップだらけなんで、すごく恐いんだけどね。
 でもそういう素敵なものに慰められるから、とても楽しいです。

 リエゾンの途中では、「マップが動かなくなっちゃったから一緒に連れてってくれ〜ィ」という人がいたりして。そうかと思うと、私も最後にマップの貼り付けてあるところが(ノリが足りなかったのか)途中でパリッと切れたりして(笑)。私のもなくなっちゃった〜!とか言って(笑)。ありゃまずいですよね。おかしいの、とにかく次から次へといろんな事があって…。

 ところで、斉藤さんが指をちょっと骨折しているかもしれない状況です。詳しくは分からないんですが、転倒したらしくてその時に。今メディカルに行ってます。んー、でも彼は続けたいと言ってるので、そのまま続行するんだろうけど、痛くて握れないって。右手だからね〜。記憶は少しずつOK。今の記憶はある、あの日の記憶はない、というカンジで、元気よく走ってるんだけどね。

 あ、ウチの旦那(雅康氏)は、今ちょうど飛行機が飛んだので、そのどこかに乗っているはず。またそちらへ連絡がくるでしょう。

 それと今日、初めてブリタニィ・モトのメンバーにいろいろ逢えたかな。いつも全然それらしき人が見えないんだけど、今日は「いたいた〜」ってなカンジで、いろんな所で逢えました。

 リエゾンを走ってる時はみんな割といつも同じメンバーで走ったりして、だんだん仲良くなってきて、みんな顔なじみになって。でも走ってる時とヘルメットを脱いだ時が一致しないのね、なかなか(笑)。あれがおかしくて!走ってると、あ、この人この人って分かるんだけど(マシンやヘルメットで)、ヘルメットを脱いで話しかけられると「あれ?この人誰だっけ!?」(笑)。
 で、そう考えると私と同じスピードで走ってる男の人が、割といるってことですよね。ノンビリノンビリね。

 今日はね、骨折したり怪我した人のケアがずいぶんできたんですよ。「日陰をつくって下さ〜い!」とか、地元の人にお願いしたり。私はナゾの薬を持っているんですけど(ヨーロッパの漢方薬みたいなやつをいつも持ち歩いてるんですよ)、それは事故を起こした時の緊急用に使うんですが、ウーと痛がって横たわってる人にそれを「ポロリン」と飲ませてずっと手を握ってあげたりして。
 そのうちにレスキューのヘリがやってきて…。というような事ができたのです。その時はね、ライダーが次から次へとみーんな止まったのね。フツーはね、次の人が来て止まったら、前の人が行く、という方法(で交代していく)が正しいやり方なんだけど、来るライダーみーんなが止まっちゃったくらい、可哀相な状況でしたね。

 今日もシャワーを浴びていません!髪の毛はボロボロです。まだ1回もといてないよ。だって櫛が通らない!手だって通らない!(笑)歌舞伎のさぁ、ぐるぐる頭をまわすやつがあるでしょ、ほら、あんなアタマになっちゃってるよ〜ん(笑)。
 菅原さん達に逢ったら今日途中のSSでガソリンを入れてるところで、谷口さんと斉藤さんの写真もチームスガワラのホームページに載せたよって。で、私も途中で撮ってくれて、私も載ってるはずですが。

 明日も今日と似たような路面が続きます。明日のゴールのボボ ディオラッソという所は、去年ここは休息日だったんですね。とってもいい町だったのね。だから、そこに行けるというのが、ウレシイなぁ〜。

 あ、そうそう言い忘れてた。今日はね、富士山麓での練習がすごく役に立ったのです。出発前の最後の最後、もう1日!と言って行った『泣きの涙の岩場』での練習。そんな所がいっぱい出てきたんで「オーッ!やったゼ!」というカンジでクリアできました。

 それでは、第4エタップの報告はまた明日!今から(12時過ぎてるんで)すぐ寝ます。朝6時だから。それじゃ〜。


1月9日
沿道の声援もウレシイ。突然出現する湖はキレイすぎる!

第4エタップ 608km(バマコ〜ボボ ディオラッソ/SS286km、リエゾン322km)
 マリからブルキナファソへ入国する。熱帯雨林の中を走る赤土のピストは、木々の間隔が狭く追い越しが難しい。ボボではブルキナファソの人々の親切な歓迎が待っている。

ラリー4日目、第4エタップのレポートは現地時間1月9日夜10時(日本時間1月10日朝7時)に入ってきました。沿道の様子や自然の美しさと、チームメイトの現状を克明に報告してくれました。特に谷口さんの状況について「HP上での様子だと、谷口さんの会の人たちが心配しているらしい」旨伝えたところ、30分後、追加報告がありました。

 今日はちゃんと明るいうちに戻ってきました。シャワーを浴びられるかなーと思ったんだけど、アタマは洗えました。バイクも洗いました(笑)。明日が長〜い日なんでその前に、と思って。今日は短かったのね。とっても楽でした。
 リエゾンは長いんだけど、SSは短くて。SSはまた堅い路面と壊れた道で、すごい大変なところなんだけど、テクニック的にはそんなに難しいところではないようなところなんです。どんなカンジかと言うと、ここ始まって以来似たような具合ですが、特にこの2日間は煙というかホコリがすごくて!砂ケムリ、砂ボコリがね。
 前の車を抜きたいんだけど、近づくのが大変!というカンジで、それでも必死の思いで抜いたりするんだけど、結構「ロシアンルーレット」状態!4輪に抜かれる時もそうなんだけど。いきなり抜こうとして前の車に近づいたり、逆に抜かれたりすると、その途端にもう「真っ白け」の中になっちゃって、「ヒェ〜ッ、何も見えないヨ〜!あ〜、道が曲がってた〜!」とか、そんなのがあるんでねぇ。

 でも、それを抜かないと速くならないし。いつまでも遅い人の後ろを走ってるわけにはいかないから、自分より速い人は抜かせて、自分より遅い人は抜いてく、ということをやってかないと永遠に(順位は)上がんないもんなー、ということね。
 イケマチ君(日本人選手、1/5のレポートにも登場。結構速い!)に聞いたら、(順位が)上の方の人たちってのは、大体速度が決まっているから、「そんな命がけで抜かなーい!」って。そんなところで抜いても、砂漠に行ってからやった方がイイもんね、というカンジで。それもそうだなぁ、というところもあるけどね。

 今日はね、体力的にはSSは全然疲れなかったんだけど、途中、道ばたでいろ〜んな人が見てるのよ。みんな今日は1日仕事や〜めたってカンジで町中の人が出てきて、イスを出してね。あんなにホコリがモウモウと立つのにね。かまわずそこの道を通るか通らないかも分からないのに(5年にいっぺん通るか通らないかの確率なのに)、みんな出ていて、警官も出ていて。女の人は井戸で洗濯をしながらとか。で、手を振ってくれたりして…イイカンジですよ。
 でね、「ワーッ」と大騒ぎしてくれてるところでは、必ずこちらから手を振るんだけど、そうでなくてもこっちが「ヤッホーッ!」とか言って手を挙げると、30〜40人かたまってる人たちが、「あっ、手を挙げてくれた!」ってカンジで「ブワーッ」と手を振ってくれるの(笑)。もう忙しい忙しい(笑)。リエゾンが長かったからね、こちらも眠気防止にもなるんだな、これが(笑)。(特に昨日は4〜5時間しか寝てなかったからね)

 いいなぁ〜こっちの人たちはのんびりしてて。ダカールでもそう思ったけどね。物売りながら横でガ〜ッとかいって寝てたりさぁ。売りながら寝ちゃう!(笑)で、時間になったらお祈りして、というカンジで。こっちの方へ来ても、農業もしながら、みんな楽しそうに自転車やロバ(車もあるんだけどね)に乗って物を運んでたり、そうかと思うと女の人はみんな頭の上に大きい荷物を載っけてさ、子供を抱えてさ、一体何km歩いてるんだろうか?と思うくらい延々と道を歩いてるのね。その生活のサイクルが「いいなぁ〜」と思ったりね。みんな豊かに、楽しそうに暮らしてるなぁって、走りながら見てるとそう感じるのね。

 ちなみに、子供たちは何て言って声をかけてくれるか、というと、「ア  ラリー!」。「ア」は「〜へ」とか「〜に」という意味で、「ラリー」はそのまま。昔からそうやって声をかけてくれるんですよ。かけ声のようにね。

 で、例の赤い花がまだいっぱい咲いていてねー。一度止まって見たいなあと思うんだけど、リエゾンで止まろうかとも思うんだけど、カメラも持ってないからなぁ…。

 そういえば道ばたに、何か紙屑みたいな白いものが落っこちてるなぁと思って見てたんだけど、朝、リエゾンの途中、バイクを止めてシュッとトイレに行く時に分かったのは、コロコロ転がっていたのがナント「綿花」。綿の花だったのよ。すごい、オーガニック!ってカンジで「オーガニックコットン」よ。白いボアボアの中にちゃんと種が入っていて、これを持って帰って植えたらちゃんと生育するんだろうけど、植物は持って帰っちゃいけないし…。
 雪の花みたいで、とてもキレイでした。道沿いにズーッとあったよ。栽培もあるんだろうけど、自生もね。

 あとね、突然、湖が出現するのね。今日見たのはダム湖だけど、何ともキレイなダム湖で、ホントいきなり水が無い世界から、バッてねぇ、水が出てくるとねぇ。人がそれだけ住んでるってことで、だから川もあって、川もすごいキレイで。水があるから人間が住めるのよね、って実感。極楽浄土みたいなね(笑)、池が突然出てきたりするの。
 今日、川も渡ったんだけど、堰を作ったところにうっすらと水が流れている状況って、分かるかしら。10cmくらいの深さでコンクリートの上を水がさーっと流れていて、そこがいわゆる「橋」になってて、そこを「ザァーッ」といって通るところがあったんです。気持ちよくてねぇ。思わず飛び込みたくなるくらい。水はすごくキレイ。

 相変わらず暑くはなくて、飲んでる水は1日約3リットルくらい。それくらい飲まないと生きてられないっていうカンジで、止まるたびにコーラを売ってれば買って飲んで(笑)。水も買って飲んで。ビバークに帰ってきたら塩をなめて。

 それから、女性ライダーの話。一人いなくなってるね。フランスの人。リタイヤしたかもしれない。その人がリザルトから消えてた。とてもカンジいい人だったのになー、残念。メイヤーさんというスイスの人とポルトガルのジャチント(Jacinto)さん(KTMに乗ってる)は、メイヤーさんが28位(総合)、ジャチントさんが69位(総合)。今日のSSは、この2人が10番と離れていなかったのよ。だからこれからこの2人の戦いというのが面白いわよ、ホント。
 私はちなみに131位(総合)くらいかな、155台中。昨日のヘリコプターで止まったのと、ミスコースが響いてて、今日のスタートはずいぶんと遅くて「ギェーッ」ってカンジでした。
 今日はフツーに何もなく、走ったら155台中、117位くらいかな。まあまあ狙ったところを走ってるカンジで。いいレース。

 問題は特にないんだけど、ヘッドライトが暗いのね。フランスでも暗い暗いって話題に上ってたんだけど、ダカールで対策をしてもやっぱり暗くて、多分アガデスにパーツを送ってもらって、この私のと同じのをつけてる5人くらいの人は全員取り替えないと砂漠を越えられない!まるで見えないという。夜になると今でも地獄なのね。それが一番大きな問題かな。

 体の方は親指がね、リエゾンでちょっと痛くなっちゃうんだけど、アクセルを左手でやってます!(笑)。高速道路だったりするようなところがリエゾンだったりするんで、右手でやってると右手が死んじゃうんで、左手でアクセルを握って。つまり両手で!(笑)という状況です。危なくはないです。大丈夫。

 谷口さんの現状。今日、走ってたら谷口さんを抜いたのよ。昨日私がSSで迷って、彼の方が先に着いちゃったんで、私の方が後スタートだったのね。で、彼は元々速い人なので、「あれェ、何ゆっくり走ってんだろな?」と彼を見たら、何か辛そうに走ってて。途中のガソリン給油ポイントで聞いたら、昨日転倒していて足が痛いと。昨日も痛かったんですが、一晩寝てバイクに乗ったら、足がまっすぐにしかならないんだって。曲がらないんだって。
 で、後ろの方に腰をずらして乗るしかできなくって、足を曲げてギャップを越えたりするのができなくって、辛そうに走ってたんですって。でもリエゾンがずいぶんあったんで、何とか走ってきて。でも一人でバイクから降りるのが大変そうなのと、エンジンもかけられるんだけど、朝、「イテーッ!」と叫び声をあげてたくらい。さっきメディカルに行って、人工ヒザみたいなやつ(医療用の圧縮パッドでできてるやつ)をやったらすごく楽になったんで、明日も大丈夫でしょう。でも足はネジったみたいなカンジなんで、ちょっと辛そうです。でも元気よ。
 斉藤さんも元気。今日は無転倒。他のチームメイトはリタイヤなし。でも転倒者は続出。「何だ、あなたもやっていたのか(笑)」というカンジでみんなどこかを負傷しています。私は親指なんで、軽い方でしょう。

 ボボ ディオラッソは大きな町なんですね。いつもより人の数が増えてるナーってカンジです。あ、そうそうそれからね、アソモト(ASSOMOTO)というイタリアのチーム('97年に完走した時の山村レイコ所属チーム)のボスがちょうどここに来ていて、「ダカールでしか会えない私たち!」というカンジで「ヤッホーッ!」と懐かしく話ができました。その時のチームメイトも大勢いるんです。とても楽しかった!  そうそう、洗濯もできました。いろんな上着をシャカシャカと洗車場で洗って干しときました。そんな余裕があった今日一日でした。以上報告で〜す!明日はSSもリエゾンも長いのでガンバリまーす!

(その30分後にまた突然電話が!)
 (谷口さんの1月7日の事故は)後ろから日産の車が来て、右側によけていたら、その車は、前についた車のワダチにうまくタイヤが合わないまま左右にガンガンふれて抜いてったんだって。その時にその車の後輪の右側と、彼のフロントフォークのタイヤがバーンと当たって、彼は吹き飛ばされたんだって。
 それでフロントフォークが2本とも折れた!で、後から来たボスのクロードに「リタイヤしなさい」って言われたんだけど、「何とかして帰る!」とリクエストして、折れたフロントフォークを突き刺したままショックを動かないようにグルグル巻きにして、フロントフォークのショックなし状態(笑)だから後輪が上がってるよね(笑)、それで残りの180kmを走ってきたんだって。
 で、帰ってきた時の谷口さんを見て、つい「写真撮っていい?」って言っちゃったくらいで。大丈夫?って言う前に(笑)。
 だってあんなバイクと、あんなスゴイ状態って、久々に見たのよ!びっくりしてしまった私は、そのフロントフォークの状態を写真に撮ってしまいました。
 で、右ヒザは、転倒じゃなかったんだって。ギャップをジャンプして着地したところに、ちょうど石があって、それが右足のつま先に当たってひねった!足がもげたかな?と思うくらい痛かったって。でも、今はニコニコ、夕食食べてますから大丈夫。
 斉藤さんは右腕を包帯でぐるぐる巻いてるんだけど…記憶喪失だったから、転んで怪我したのも忘れてて、シャツは着たままだったから、シャツが皮膚になっていて、それを脱いだら「ベリッ」って。で、血が出ちゃってホータイグルグル巻き。そんな状況です。
は〜い、それじゃ、また。

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