◎1月10日〜12日

1月10日
今日は2人の日本人選手も来ています!

第5エタップ 762km(ボボディオラッソ〜オアガドゥゴ/SS485km、リエゾン277km)
 前日同様の、熱帯雨林の赤土のピスト。ラテライトの赤と、森の緑のコントラストが美しい風景を作っている。村に近づくとピストが幾つかに増えるが、本来の道を見失わないように。そして雨季のダメージで道が壊れている部分が多いので、走行には注意が必要である。
 さて、ここまでのSSは平均距離345kmと比較的短いものだったが、本来のパリダカールで現れるような、長くて本格的で厳しいSSは明日から始まるのだ。

ラリー5日目、第5エタップのレポートは現地時間1月10日夜7時(日本時間1/11朝4時)に入ってきました。
今日のレポートでは、池町選手と谷口選手が電話口に登場。お二人の生の声を交えてのレポートとなりました。

はーい、元気です。
今回は日本人ライダーの方々に直接電話に出ていただいて、それぞれの口からパリ・ダカール・カイロ・ラリーの現状報告をして頂こうと思います。
じゃ、一番速いプライベーターで出ている池町君にまずは登場してもらいます。

◎池町佳生 選手
(97年、ダカール・ダカールラリー総合16位。ホンダXR600Rで出場中。詳しくは「GARRRR 2月(新春特大)号」P74をご覧下さい。)
 池町と申します。何とか回しています。毎日トラブルが立て続けにあるんですが、何故かうまく転がっています。今現在は総合16位って具合でいますが、でもちょっと前後するだろうな、という可能性があるんで、あまり順位は考えずに走ろうかなと。まだこの先長いんで。
 まだね、5日しか終わってないんですが、結構タイヤが減りまして。今日もSSで中のムースが溶けちゃいまして。タイヤもバラバラになって、最後はリムで20km走っちゃいましたよ(笑)。
 で、何とかゴールして、たまたまKTMのトラックが来たんで、「やった!これでタイヤもらえるかな」と思ったら、KTMに「NO!」とか言われて、しょうがなく村を探してカブにつけるようなタイヤを探して(笑)、それを付けて(笑)。それでリエゾン200kmくらいを走ってきました。今日、タイヤ交換します。誰かが使い終わった中でもいいやつを探してきてね(笑)。
 友人のメカニック「コウシゲ」と2人で来てるんですが、何とかリタイヤしないようにガンバリます!じゃ、山村さんと替わります。

(山村)
 …というわけです。すごいガンバってるよー。16位だからいいカンジだよね。あ、隣で「ウフフン」って本人は笑ってるよー(笑)。次は谷口さんと替わりまーす。

◎谷口和宏 選手
(福井県のバイクショップオーナー。山村レイコと同じくブリタニィ・モトからパリ・ダカール・カイロ・ラリーに出場している。詳しくはこのホームページの用語解説ページから、谷口さんのページにリンクできますのでそちらへ。)
 はーい、ありがとうございます。初めまして、谷口です。前半の方に足を引っかけちゃったんで、転倒するとヤバイんですよ。だから絶対コケないように、ゆっくりゆっくり走ってます。
 今日なんかも、日が暮れるギリギリ(明るいうちですが)に帰って来れたくらいの様子です。今はTSOに「テーピングして、薬だけくれ」って言ったら、「いいやつがあるから、これを持ってけ」って言ってくれたサポーターというかヒザパッドのいいやつをつけてます。
 元気で楽しんでます。ガソリンの給油場所ではね、レイコさんや斉藤さんによく会えます。そこでみんな揃うってカンジです。日に2回くらいはね。
 それでは、「やれるだけ、やってきます!」山村さんに替わります。

(山村)
 それでは私から、今日の報告参りまーす。今日もバッチリでしたよ。コース序盤はハイスピードのところだったんだけど、そのうち、トライアルセクションみたいなところが出てきて、「全く富士山の練習場所だワ!」細〜い、抜けな〜い、壊れた農道みたいなカンジのところをず〜っと、エンエンと走って。また最後、ハイスピードのコースになって、というカンジでね。距離は長かったけど、ハイスピードのところがあったんで、480kmと言っても、あまり長くは感じなかったんだけどね。今日もあまり、そんなにムズカシイというカンジじゃなかったんですよ。ムズカシイのは、明日からじゃないかな(池町君も言ってたけど)。
 こう、ただただ長いだけでね。今日のいろいろはですね、いろいろあったのよ(笑)。1回足を、さっき言った細いところで、立木のところに右足首を「ギョギョギョギョギョ」ってカンジで打って。痛いんだけど、全然支障はないのね。でも「打ったぁ〜」ってカンジよね。「打ち身〜(笑)」。それくらいかな。転倒もなく、ウン。

 あとね、走ってたら、本当は速い人なんだけど、ちょっとバイクが故障しちゃってて、私の後ろをずっとついてくる人がいるのね。で、何となく後半は2人でずーっと走ってたりして。何だかサポートされてるような気分(笑)。明日もこの人、居てくれないかしら!とか言いながら…居てくれよぉ〜!(笑)。
 で、その人とずっと走ってたら、池町君も落ちた!という、人の丈くらいある溝に(そこは迂回するようになってるんだけど、みんな間違えてまっすぐ行って落ちたりする所なのね)、4輪のバギーね、あれが「ポコリン」ってはまってて、それじゃ助けるか、という事で、バイクを降りてみんなでヨイショヨイショって上げてやって、で、また一緒に走り出して、とかね。

 今度は給油ポイントのCP2で、フッと見たら、BMWの速い人、アンドレアン・メイヤーがシートを取って、一人でヒーヒー汗を拭きながら何かやってるのね。壊れちゃったの。バッテリー系統がダメみたいで、エンジンがかからなくなっちゃって。で、分解してた。一人で!
 チェックポイントだから(人はいっぱいいるんで)、みんなで手伝ってかけようとしたんだけど、かからなくて。そうこうしているうちに、みんなは時間(15分しか休みがない!)になって行っちゃうんだけど、そしたら一人の男性(私がよく講演会で写真を使わせて頂く人で、55歳。去年も出てて、今年も出てた)が、手伝ってあげて。私も何もできないけど、「お水飲む?」とか言って一緒に3人でいろいろやってたのね。そしたら主催者のオリオールが来て、女の子二人で「ヒー」とか言ってやってるんで、これはオイシイと思ったのか、写真をバシバシ撮りだして(笑)。でもまあかからなくて。私もその男性も15分既に経っちゃって、10分オーバーでそこをあとにしたんだけど、彼女はその後1時間いたのか2時間いたのか定かじゃないけど、ずっと一人でやってたみたいで。今日はまだ成績表を見てないから、どうだったかしらね。今日の順位は「ガガッ」て落ちちゃっただろうね…。
 でも彼女はすごく明るくてね。一人でテキパキテキパキやっててね。トップクラスの人もこうやって直すんだわねーと思いながら。

 今日のリエゾンは長いから、眠くて眠くて(笑)。とにかく眠くて。で、また池や大きな湖が出てきて。シャンピオン君が止まってて、顔を洗ってたから、私もアフリカの水辺で初めてバイクを止めて(一人だとバーッと行っちゃうんだけどさぁ)、「私も!」なんて。グリーン色のね、きれいな水で顔を洗って、すごく気持ちよかったぁ。遠くでは牛がモオーッと鳴いてるし、鳥がパタパタと。動物のTV番組を見てるようなきれいな湖でね。地元の人も集まってきたりして、良かったですよ。

 でね、昨日言い忘れたんだけど、木がすごくてね。今まで走ってきたところは、水があるところだから、木もとっても緑緑してるワケ。「この木なんの木」よりももっと大きい木がね、青々と何億本(笑)ってカンジであるのですよ。道行くところずーっとそんな大きい木があったりして、なんて豊かなんだろうと思いながら。その緑がサ、絵の具の緑みたいにキラキラと輝いて、光ってるんだよね。キレイだなー!キレイだなー!って叫びながら走っとります、ハイ。

 みんな今日も沿道の人たちに、SS中でも手を振りまくっていたんだけど、面白いことに目が合うんだよね。走ってても、1mくらい横に来た時に、目と目が「パシッ」て目が合うのよ。ホントにあれ、不思議だね。こっちも結構なスピード出てるじゃない、ねー。でも目が合うのよ。面白いね。

 あっ、斉藤君も元気よく、走ってますよ。さっきまでここにいたんだけど、今どこか行っちゃった(笑)。今日は彼が速かったんじゃないかな。いいペースで走ってたし。日々走りながら、体が戻ってきているというカンジですね(笑)。
 でね、今日は困っちゃってる選手にチューブを貸してあげたり、みんな選手同士の助け合いが盛んになってきました。私は4人くらい、助けてあげたなぁ。「自分が助けられたーい!」と思いつつもね。そんなにアセッてないカンジね、みんな。今のところはね。
 ただ、明日からは砂が出てくるのよ。これが。明日はSSが500何kmもあって、とても長いんで、これを明るいうちにクリアするのは難しいかもしれないんだけど、何とか抜けていきたいと。これを抜ければ、ひとつ私もホッとするかなぁ。明日、明後日が、私はヤマ場だと思ってます、ハイ。
 ではまた明日、レポートしますね。それじゃあ。

●今日の成績
   SS119位 総合125位

●女性同士の戦いも面白くなってきました!
   メイヤーさん(スイス)
      SS130位 総合52位(落ちた、とのこと)
   ジャチントさん(ポルトガル)
      SS 59位 総合64位


1月11日
ん?ラリーはどうなる?中断?
それはともかく、またもや話題満載。

第6エタップ 733km(オアガドゥゴ〜ニアメイ/SS526km、リエゾン207km)
 ニジェールへ入国するエタップ。初めての長いSSのエタップ。走行路面の変化が著しい。いよいよサヘル(サハラ砂漠の南端)から乾燥した大地へと向かう。赤土は次第に柔らかくなり、やがて深い砂へと路面は変わる。このラリー最初の砂丘がニアメイの手前で現れ、競技が本格的な部分に突入したことを知ることになる。運転技術とナビゲーションの精度は確実に。ニアメイはニジェールの首都である。

ラリー6日目、第6エタップのレポートは現地時間1月11日夜7時過ぎ(日本時間1/12朝4時30分)に入ってきました。日毎にいろんなエピソードがあって、報告を受けるこちら側は面食らうのですが、本人はいたって楽しそう。今日も谷口、斉藤両選手のコメント付き。また、ニジェールの政情不安がラリーの運営に関わる重要な案件となっている(銃撃のおそれがあるかもしれないという物騒なハナシ)ようなことにも触れています。

 はい、6日目もOK!帰ってきましたよ。
 私は大丈夫なんだけど、今ラリー運営について主催者のオリオールたちがパリとかアメリカとかと連絡を取り合っているらしいのね。で、どうもニジェールで銃撃をされるんじゃないか、という情報になってきて、明日の第7エタップは厳しい日なんだけど、ひょっとしたら明日、明後日とここにいて、ニジェールをパスしていきなりリビアに飛ぶかも。でも、飛ぶためにはトラックまで運べるようにしないと、陸送というかコンボイができないみたいなのね。
 んで、それがチャーターできなければ、もしかしたらラリーが今日で終わってしまう!かもしれないという(?)情報も飛び交ってたりして。でもとりあえず明日の第7エタップはキャンセルになるんじゃないか、というのが今のところの「裏」情報です。後でもう1回電話するから、その時にははっきりしていると思います。

 さて、レースですが、今日はコロリン!なんて砂がちょこっと出てきたのね(ほんのちょっとだけどね)。朝はバンバン、ダートトラックレースみたいに飛ばせる面白いコースだったんだけど、砂のところへ来たら、ヨロヨロと、疲れ果ててさぁ…。だってSSが500kmでさぁ。水タンクが壊れてて、うまく飲めないまま走ってるのね。「飲みた〜い!けど飲めな〜い!」状況。
 で、ハタハタと、トテットテッというように力尽き果たして(笑)、というカンジの情けない倒れ方(転んだ、というよりは倒れたというカンジの)変てこりん(笑)な転び方をしました。
 1回エンジンもかからなくて、「ヒィーッ!」となってたら、前一緒に組んだイタリアの「ASSOMOTO」で一緒だったピコさん(この人は優勝はしてないけど、パリ・ダカールラリーのヤマハワークスの人だった。今回は車でアシスタンスとして出ている)のところのバイクの人が助けてくれて、その後も一緒に走ってたら、今度はたまたま私の前にビュンと入ってきた人がいて、ずーっとその人と最後まで一緒だったの。スペインの若い人。なぜか、私の速度に合う人っていうのがいたんですよ(笑)。そのスペイン人は本来は速いらしいんだけど、足を折ってて(笑)、足の先の方にクラックが入っちゃってるのに、「ボクはカイロまで行くんだもんね」って。足が着けられないような人なんだけど、私と速度が一緒なの。その人とずっと前を走って、後ろを走って、なんて走ってきて。すごく心強かったです。砂が出てきても、「彼はきっと見捨てないワ!」というカンジで(笑)。これじゃ一人で走ってるとは言わないのかしら(笑)とか思いながら。
 昨日一緒に走った人は、エンジンが調子悪かったのよね(笑)。だからもう「どうせだったらいいや、女の子の後ろでも走ってあげよう」みたいなカンジだと思うのね、二人ともね。昨日、今日とその二人にはホントお世話になって。
 今日のレースの最後の方は、そのスペイン人と「抜きつ抜かれつ」の大バトルで帰ってきたのね。面白かったよ。

 あとね、「水渡り」があったんだけど、私はそんなに難しいと思わなかったのに、実はそこでみんな勢いよく飛び込んでしまって(割と深かった!)、何人も水没したらしい!という。映像的には(TVの取材入ってたら)きっと面白い絵が撮れてるんじゃないかなぁ…。
 今日のSSは長かったけど、そんなに難しいというカンジではなかったのね。ただ、突然地面に亀裂がバンバン入ってて、ホントはナビゲーション走行っていってたんだけども、もう私たちが走る頃にはちゃんとワダチが出来ていて、さっき池町くんに話を聞いたんだけど、彼が走ってる時は、ホントGPSとにらめっこだったって。みんな右往左往しながら道をつけていったみたい。トップの方はトップの方で大変なのね。
 それから、池町くんは13位まで上がりました!それなのに、あ〜、それなのに(笑)、今日でラリーが終わってしまったら、どうなっちゃうんでしょう!なんて。彼は「続けてくれなきゃヤダ!!」と言ってます。

 あー、今、谷口さんが帰ってきました。斉藤君はまだかな。他の人もチームメンバーは…250で走ってるベルギー人もまだだな。多分斉藤君と一緒に来るでしょう。
 いやー、手は疲れるわ肩は疲れるわで。右手の方は、SS中でもハンドルは左手で握ってるほど。痛んだモンね。

 水はきれいでねー。それとアフリカって匂いがするのよ。これが特にサハラの砂漠の方へ行っちゃうと匂いがなくなっていくんだけど、今走っているのは人が生活してるところだから。
 例えばある日はジャスミンの香りがしたの。ウワ〜ッってジャスミンの香りがしたり、ウワ〜ッてミントの香りがしたり(ミントを栽培してたのかなぁ、その辺りは)。かと思うと夕飯時のたき火の匂いみたいなのとか、青々とした草がむせ返るような匂いだとかね。
 朝方はね、カワイイ子豚だとか、おいしそうなニワトリだとか、ヤギちゃんとか、カワイイ動物がチョコチョコと道を走っててね。危ないんだけど、可愛いのよ。アフリカって、動物がホント可愛いんだよね。また、犬も可愛いのよ。アフリカの犬って、昔からそう思ってたんだけど、足が長くて胴が長くて、ポインターみたいなのね。雰囲気的には。でも色は普通の雑種みたいなカンジ。人間との生活が主でね、家畜じゃないんだけど、首輪もしてないし。でもちゃんと飼っている人はいるのね。例えばリアカーで荷物を積んだ人がロバでポコポコ歩いてて、奥さんと娘が横を歩きながら移動してたりすると、犬は日陰になる馬車の下でチョコチョコと歩いていたりとかね。ほのぼのとしちゃうの。何〜かいいよ〜、ホント、アフリカの犬は。

 今日のゴールにも海外青年協力隊の人がいっぱいいて(「ヤッホー!」とか言ってたんだけど)。どこに行っても「今日も多分キャンプ地に行きます」ってカンジの人たちばかり。この人たちはこのラリーを本当に楽しみにしてくれていて、できる限り接点を持とうとゴールにいたり、スタート地点にいたり、キャンプ地にいたり、とするんだけどね。
 私は私で彼らはイイところに住んでるなあって、反対にそう思いましたね。「お疲れさま」なんて声をかけてくれて、その言葉をそのまま返してあげるって言いたかったりね。とてもこちらの生活も楽しいんじゃないかな。

 あとねー、いつもね、走りながら「これも伝えよう!」ってことがいっぱいあるのにね、メモできないから忘れちゃう!
 課題だったメカニックについては、昨日は全部見てもらうことができました。全てのチェックも、タイヤ交換も、オイル交換も。パーフェクト!すばらしいメカニックです。それは何と池町くんのメカ幸繁さん(今までカタカナでコウシゲと書いていましたが、判明しました)。
 池町くんはホラ、転倒するワケじゃないから、いろいろやってもすぐ終わっちゃうんだって。時間があるから手伝いますよ…なんて最初から言ってくれてたんだけど、「オイル交換がねー、できてないのよ…。どーしよう」なんて言いながら歩いてたら、それを聞いてて「えー!じゃ、やりましょう」って言ってくれて。昨日ずっとやってくれて。朝、全部チェック済み。スゴイでしょ。

 あ、斉藤君が帰ってきた。「斉藤クーン!」ン、斉藤君だよなぁこの人は…。あ、斉藤君です斉藤君。おかえんなさーい。今日の一言をどうぞ。(電話を替わる)

◎斉藤正彦選手
(生まれも育ちも大阪の会社員、28歳。ブリタニィ・モトからの出場)
 今日の一言?え?あ、斉藤でーす。(記憶喪失の方はどうですか?との問いに)いやー、全然記憶が無くてですねぇ。意識がモーローとした中、本能的に走ってきたカンジです。でもまだまだガンバレます、ハイ。

(山村)
 谷口さんにも今日の一言をお願いしましょう。

◎谷口和宏選手
 もしもし。どうもどうも。(足の具合はどーですか?との問いに)何かもう、痛いの通り過ぎちゃってね。シビれちゃって痛くないんですよね(笑)。あれ途中で「あ、痛くない!」って、「これなら乗れる!」って。それまではちょっと動かすと痛かったんで、ジッとこう体で固定して、ガマンして乗ってたんですけど、「シビれてて痛くなーい!」って。今のところは快調です。

(山村)
 元気そうでしょ、みんな(笑)。面白いよ。斉藤君なんか、今まさに帰ってきたばかりで(笑)疲れ果ててはいますが。
 みんな今回はシャワーをちゃんと浴びられてるのよね。毎回方式は違うんだけど、タンクに水だけ入ってて、それをプシューンってやってシャワーにしている時もあるし、男の人はみんな裸になって5・6人でザアーッてやってる時もあるんだけど、私はハズカシくてそんなことはできないんでねー。ちゃんと囲いがあって、まるでトイレのようにシャワースペースが8つ位ある時もあったりね。だから、シャワー浴びてないって人の方が少ないんじゃないかな。
 私はアタマを1回洗っただけだから、ひょっとして私が一番キタナイかもしれない!(笑)
 トイレも常備されてるんだけど、私は恐くて入っていません。恐いっていうのは、山盛り一杯になってるのが恐い(笑)のね。ですから私は快適な、広ーい草原のお世話になっているのでした(笑)。

 丸富製紙さんから提供頂いたポケットティシュ(牛乳パック再利用のティシュペーパー)も大活躍で、1日2個は確実ね。シールドやゴーグル拭いたり、鼻をかんだり、水に濡らしていろんなものを拭いたりとかね。大正解でした。

 食事はね、すごくいいよ。外国人(フランス以外)がすごく多いのね。この間もスタート前にバイクで並んでいる時に、この国旗見たことないなぁと思って、「あなたはどこの国の方?」って聞いたら「クロアチア」の人。そんなカンジでいろ〜んな国の人が出てるから、料理の方もいろいろ工夫があって。
 例えば、イタリアの人が多いから必ず夕食にはスパゲティとマカロニが別の所にあったり、いろんな心遣い、ホスピタリティがどんどん良くなってくるね。
 走っていてもそう感じるのは、いつもは村の出口とか難しくてみんなミスコースしたりするんだけど、今回は警官がちゃんと立っててくれて、「こっちだこっちだ」と誘導してくれるんですよ。
 町に入ると20mおきくらいに警官がいて(これは地元の車と人を止めておくためにいるんだけど)、ラリーの人たちが通るまで、町の中はラリー優先にしてくれるの。すごい光景ですよ。国を挙げてラリーに協力体制をとってくれてる、というのがスゴクいいよね。いいカンジだから、警官にも手を振っちゃう(笑)。でね、よく見てたらね、リエゾンで私以外の選手も手を振ってるワ!(笑)でも、私たちくらいの順位の人だけかもね。

 今日の報告はそんなところですねー。
 後でまた、ラリーがどうなるか、ということと順位が出ていたら、報告します。今日はなー、4回も止まって、順位としてはあまり変わってないんじゃないかな。大体ね、10人くらいの人とラリーを一緒にやってるねってカンジですね。10人が抜きつ抜かれつ、行ったり来たり行ったり来たり状態でした。でもそれが結構楽しかった(笑)です。
 それではまたねー。
 

ラリーはどうなる?結局中断へ。

●山村雅康氏よりパリから電話
(日本時間1/12朝6:30、滞在中のパリより国際電話)
 ラリーは中断ですね。ニジェールのテネレ砂漠の東側の治安に問題があり(反政府勢力がいるとされています)、TSOは今日(1/11)、ニアメイまでのレースを前半戦として終了させたようです。6日後の1/17、おそらく第11エタップのアルウィグから後半戦が再開される予定。アルウィグまでは飛行機でのピストン輸送(リビアのサバまで)と、地上移動(サバからアルウィグまで)になるでしょう。
 このことは、ジンダー〜アガデス〜ディルクーといった、かなりの距離、ロケーションと大きな魅力を秘めた、今回のレースの目玉ステージを失ったことになります。
 ここで勝負!と思っていたライダー達は「アリャリャ」と拍子抜けし、ここまでだましだましの走りをせざるを得なかった人は「助かった」と思っていることでしょう。
 いずれにしても、スポーツ的興味は少なくなった、とは言えますが、ワハ〜コフラ〜ダッカラという非常に興味深く面白いルートが残されています。第13,14エタップには注目です。

●山村レイコ本人よりニアメイから電話
(日本時間1/12朝7:30にブリーフィング後の追加報告として)
 アガデスを含め、5日間、キャンセルになりました。いきなりリビアです。全員リビアに飛ぶことになりました。私としては、良かったですね。手がシビれちゃってるし。アルウィグから後半戦で、いきなりデューンが出てくるんだよね。路面を見ると、最初はストーンだけど…だんだんデューンが出てくるという…ね。ブリタニィ・モトのチームメイトはみんなケガしてるから、喜んでるんだけど、池町くんだけは「ウワー!日程が短くなっちゃった」って。彼にとっては日程が長い方が有利なのよね。長い方が上に行く可能性は高いし。みんなもう明日はレースじゃないって顔してるよ。
 私もさっきはちょっとワインを飲みました。いつもは水だったんだけど。で、ちょっと飲んだらクラクラ。吸収が早いのかな。そんなカンジでーす。
 じゃ、また休日の様子をお伝えします。そうそう、シャワー浴びたよ!さっき初めて。仕切りがあったからね。ビニールシートで重張りになっていて。夜だから風邪ひくかなあと思ったけど、寒くはないのね。もちろん温水じゃないよ。水だよ水。
 はい、それではお休みなさい。疲れ果てて寝ます。ではー。


1月12日
ラリー中断決定。飛行場の脇で休息してます。

ラリー7日目、第7エタップから第10エタップまでの中断と、17日からの再開が決定。この日は選手にとっての休息日となった。レポートは現地時間1月13日午前1時30分(日本時間1/13午前10時30分)に入ってきました。またもやいろんなトピックス満載です。

 はーい、遅くなってごめんなさい。山村です。
 今日はね、お昼の12時までにマシンを修理してパルクフェルメ(一時保管)する予定でメンテナンスをやっています。でも、それが午後3時まで延びたのね。というのは、フランスのシャルル・ド・ゴール空港が凍っちゃって、パーツを送る飛行機が3時間遅れで今、来たところなのね。そんなわけで。
 今はこのビバークでは昼間みんなちょこちょこいじってたけど、夜の9時頃にはもうみんなお休みグーグー状態。今まだやってるのは池町くんのところとあと3個くらいね。
 ワークスの中には街のガレージを借りて、カミオンごと突っ込んで大規模にメンテナンスしてるところもあって、これじゃ新車になっちゃうよね(笑)。それでは今日のレポートをいくつか…。

みんな顔がちょっとゆるんでる。

 さて、昨日〜今日にかけては久しぶりに寝ました。今まで大体4〜5時間しか寝てないんだけど、何と今日は8時間!みんな、ワーイ、休めたぞォーイ、ってなカンジで、ちょっと「バカンスの顔」してる人が多かったですね。「バカンス」とは言っても完全でなくて「節度を持ったバカンス(笑)」ってカンジのね。

トイレの話題を少し。

 今日はやっと公式トイレに行って来ました。キレイでした。シュロで編んだ囲いをクルリーン!と巻いて立ててあるトイレで(上から見ると唐草模様みたいに巻いて立ててある。屋根なし)、スペースは一畳くらい。シュロだから隣の人が何とうっすら透けて見える!で、便器を置いてあって、その下には消毒用の薬とか入ってるからかな、臭くなくってね。快適でしたよ(てんこ盛りでクサイーッ!って予測は外れました)。でも相変わらず地平線に向かって10分くらい歩いての草原トイレ!の方がやはりイイですね。

リタイヤ情報。

 最初からトラブル続きだったベルギーのローランさん(250の人)が、とうとう昨日のステージでリタイヤ。
 心配なのね。というのも、競技車両に接触(谷口さんと同じ状況らしい)して、頭を打って左半身がマヒしてるらしいんですよ。今はこっちの病院にいます。残念です。
 それと何と!クイックアシスタンスのカミオン(クロード・チュアルが乗っている)がリタイヤ。アシスタンスの車がいなくなった!ガーン!
 ということで、後ろからパーツを積んだ私たちのためのクイックアシスタンスがいる、という状況でなくなる、という事ですよ。あとは何かあったら、他のチームのアシスタンスからパーツ類を頼み込んで分けて頂く方法しかないのね…。
 あと、ね、どうもフランスのTVニュースでは、昨日の第6ステージで死者が出たって報道してるらしい。こちらではよく分からないのですが…。

池町くんの情報も。

 池町くんも実は最初からトラブルが続いていて、中身がちょっと面白いんで紹介します。 1日目…サスペンショントラブル。サスが死んでリエゾンはそのまま!走ってきたんだって。
2日目…リアタンクに穴が空いてガソリン漏れ。で、あと50kmのところでガス欠。リザーブにしてようやくギリギリのところでゴール。
3日目…10〜15分のミスコース。GPSから目を離したことがないくらいなんだけど、最初にコースを作る(上位の選手は大変なのよ。前車のワダチがないから)のはホント大変。彼は上位にいるからね。
4日目…ノントラブル。高速走行が多くてエンジンの大きさだけでも差が付くんだけど、KTMやBMWには高速走行でゴボウ抜きされた!って。
5日目…前ページ上でも紹介した通り、ムースが溶けて、リムで20km走り、カブのタイヤで走りきった!
6日目…ナビゲーションがやっぱり大変で、コースミスがあった。  というような具合です。面白いって言っちゃ失礼だけどね。本人から直接聞いたのでした。
 

「ライトが暗い」問題は…。

 暗いヘッドライトの問題は解決しそうです。私がこの前プレスで出場した時に知り合ったプレス関係者(フランス人が多い)にいろいろ声をかけてたら、ヤマハのチームの人が、朝6時からステーを溶接して、プロジェクターライトをもう一個つけてくれることになりました!ラッキー!これで砂漠も大丈夫かなと。
 斉藤君は街へ買い物に行ってライトを買ってきました。自分で改造して取り付けしてます。
 谷口さんは「暗いけどまあエエワー」とか言って(笑)。このままで行くそうです。

心強い!海外青年協力隊。

 青年海外協力隊の人が、「明後日、日本食を食べにいらっしゃい」と誘ってくれた!何とその人は去年もゴールにいた人で、私がラジオのインタビューした人でした。今年も出逢えましたねー。で、その人たちはフランス語ペラペラだから、斉藤君もその人たちに同行してもらってライトを買ってきたの。ありがたいことです、ハイ。

こちらでもホームページの話題が。

 「三菱のホームページとリンクしたよ」って篠塚さんとお話してたんだけど、チームスガワラの人も、谷口さんもそこにいてね。日本じゃウチの「RE-ECO」からリンクの輪が広がってるって話で盛り上がりました。篠塚さんも「その話面白いねぇ」って言ってましたよ。
●RE-ECOとのリンク希望は、seize@inh.co.jp(RE-ECO編集室/佐藤、島田)までどうぞ。

マッサージスタッフが欲しいよー。

 今日は6人の人をマッサージしてあげました。みんな体のバランス悪くなってるね。で、凝ってて凝っててコリコリ。私もマッサージしてもらいました。私もコリコリでした。今度出場する時は、チームにマッサージ師一人、付けてくれィ!

ホテル組、ビバーク組、どちらがいいか。

 篠塚さんとかね、ワークスの人たちはね、街のホテルに泊まってるケースが多いのね。で、ニアメイでは今年蚊が大量発生してるらしくて、篠塚さんたちはホテルなのに「もう蚊に喰われてどーしようもないよ」って言ってるの。実際蚊にやられてて。でもここ、飛行場の脇のビバークにも蚊はいるんだけど、私たちは全然やられないの。
 ウーン、ビンボー人にもいいことあるねぇ(笑)って言ってるの。そうそう、篠塚さんたちが泊まってるホテルにはプールがあるんだって。これからの日程が空くから、みんなで観光に行こう!(笑)とか言ってるけど、プールで泳ぐのもいいなぁ…と。

エッ篠塚さん1位なの?

 さっきの話に戻るけどね、みんなで篠塚さんたちと話してて、順位の話になったのよ。私たちは得られる情報が限られてるから、誰が何位って全然把握してないのよ。で、「篠塚さん今何位?」ってカルーく聞いたら「一応1位だけどね…」って。
 で、私なんか「1位!スゴイじゃーん!!」って。(私だけかな?知らなかったの)みんなにウケちゃって。
 でね、この前の時('97年)も篠塚さん1位で、私も良かったから、今年も1位でいて下さーい!って、そう言いました。

いろんな人のこと。

 ジャッキーイクス(F1でも有名だった)が、参加中とにかく声をかけてくれるのよ。ファラオラリー以来、よく会うんだけど、とにかく向こうもよく覚えててくれて、「今回も2輪かぁー、自分もあなたが2輪で出てるのウレシイよー」って。本人、2輪が結構好きみたいなのね。
 マニュアルリーって選手とも給油所で会って(元々2輪で出場してた人。今は4輪)、今年はベンツから出てました。「もうモトはやらないんだー」って。以前会ったペテランセルも2輪から4輪に変えた時にちょうど話ができたんだけど、2輪から4輪に変えた人が2輪のライダーと話をする時は、ホント、なぜか寂しそうなのよ。そういう目でこっちを見るのよ。
 あとね、女性ライダーのアンドレアン・メイヤーとさっき会ったら、26位でゴールしたって。私を抜いてく時、彼女は速かった。バビューンって、2秒位で見えなくなったもんね。

洗濯をしてもらいました。街へ食事にも行けます。

 休息日はね、笑っている人、泣いている人(池町くんとかね)が両極端ですね。でもいろんなことが体験できます。地元の人に洗濯もお願いしました。チームのみんなで20点くらいお願いして。全部で100フラン(1600円くらい)でやってくれました。
 あと、チームメイトみんなで明日は街で会食しようって。ブリタニィ・モト全員でね。チームスガワラは中華を食べに行くって言ってました。
 ここにいるとね、太りそうです。ラリー中は朝ちょっと食べて、昼はヌガー程度、夕は出たもの全部食べきれない、そんなカンジで1日でいつもの1食分を食べるかどうかってカンジですが、今はまともに3食!ウーン、太るよね。

さあ、こんな具合の休息日でしたが、またいろんなことがあるでしょうから、次のレポートもお楽しみに。じゃ、お休みなさーい。

次の日記へ(1月13日〜15日)


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