vol.143 2008年2月26日

合鴨フォーラム静岡大会

 2月22〜24日、御殿場市の”国立青少年交流の家”にて行われた「第18回合鴨フォーラム静岡大会」、”富士山麓で合鴨の原点を語ろう”というテーマで行われましたが、すっごく楽しかったよ〜! やっぱりこの先の未来を同じ方向を見てガンバッテいる人たちなので、話しても話しても話したりない感じでした。本当になんともすんばらしい時間でした。

 主催は合鴨農法を全国に広めた大先輩の古野隆雄さんが代表を務める「全国合鴨水稲会」と、「静岡大会実行委員会」。今回の大会実行委員長は、我が富士宮の「富士山麓アイガモ農法の会(39名います♪)」の代表者でもある佐野元彦さん(無農薬のお茶やさんです。私が2001年、最初に合鴨農法にはまったのは、佐野さんちのお隣にある共同でやることになった合鴨たんぼでした。)。そして事務局の要となって動いて下さったのは、やはり農家(退職後の仕事として農業を選んだ方。ドラゴンファームっていうのがいいんだよなあ)の龍田純隆さんと底抜けに明るい奥さんの秀子さん。野菜の出荷の傍ら、この一年に渡って動く動く動くのなんのって。私も一年前から「レイコさん、講演お願いします。スケジュール開けておいてね」とにっこりされて、「はいよー」。でも実は私、先日腎臓をちょっと壊してその治りかけということもあって、本当は会のボランティアスタッフとして掃除や片づけや雑用あれこれもやるはずだったのですが、あんまりどころかま〜〜〜ったく使いモノになりませんでした。寒い中働きまくっていた会のみなさん、オモイッキリご免なさい。そして、そのスタッフはほとんがオーガニックの食材を生産している農家ということもあって、交流会の夕食はそれらの食材が持ち込まれ、信じられない程美味しかった、、、ということも素晴らしかったのですが、その前の講演会のプログラムが凄かったです。チビデジカメだったので、あまりよく撮れてなくてその様子はありませんが、錚々たるメンバーよ〜ん!!

 記念講演の岸田芳朗せんせいは、岡山大学准教授(大学院)にして日本有機農業学会理事、おかやま合鴨水稲会理事長さん。『合鴨農法における水稲の栽培・カモの飼育技術と米肉流通販売の到達点と今後の展開』。実は私は聞き損なってしまったのですが、むちゃくちゃ面白かったらしいです。くやしー! お若い素敵なせんせいで、すぐに私の本を買ってくださっただけでなく、「僕、マネージャー」な〜んて言いながら、たくさん宣伝してくださって、本当に驚く程売ってくださいました! もう感謝でございます。そして買ってくださったみなさんもありがとうございます! 合鴨農法のことがいっぱい書いてあるので、嬉しい。。。

 そして、基調講演は茨城大学教授で日本有機農業学会会長の中島紀一さん。『有機農業推進法が制定されて一年』。この講演もなんと役にたったこと!! 一昨年の12/15(誕生日だあ!)に制定された有機農業推進法の関連資料集もさっそく手に入れましたが、離れている間にいろいろあったんだよなあ〜とつくづく。どんどん変わっていく農業制度を知っていないと、いかんのだよなあ。

 元鹿児島大学教授で全国合鴨水稲会代表世話人の萬田正治さんの講演『私の合鴨稲作の理念と経営』も素晴らしかったです。まさに私の理想の生き方(農業を中心に豊かな大地で家畜のいるパーマカルチャー的生活)ではないですか! アイガモの餌も「それがやりたかった!」というやり方だったし、最後に山羊の話がでてきて「やっぱり山羊よねー!」。でも、なんと、恥ずかしいことに最後に知ったのですが、萬田せんせいは、山羊の研究一筋に来たという山羊研究者だったのです! どこかで聞いたお名前と思っていたら、それもそのはず、私が買った農文協の山羊の飼育本「ヤギ」の著者だったのです。きゃー、なんてことでっしゃろ。有頂天♪ もう絶対に鹿児島は霧島にあるという萬田農園に行ってみるしかありません。今は山羊いないそうですが、たんぼ、池、畑、見たい!

 そして次が私の楽しい農業体験記?の番でした。『命と拓く農の未来』。別名、『合鴨から山羊まで』って感じもありましたが、なぜ私が農業だったのか、なぜ動物の命と共にあるのか、その課題(名前をつけたら食べられなくなった!)などなど、30分ではありましたが、思いきり話させていただきました。でもあと2時間くらいは欲しかった。

 お次は、我が「富士山麓アイガモ農法の会」の佐野静男さん。レイコたんぼの看板を描いてくれただけでなく、頻繁に通ってくださって御指南下さった師匠の一人です。仲間内では「ホンモノの農家」というニックネームでした。『私の農業挑戦記』として、代々の農地を引き継ぐことになったワケから、最近栽培で大成功したマコモタケ(イネ科ですがタケノコ風のしゃきしゃき感があり、むちゃくちゃ美味しいです。何にしても合うので、毎日食べてもあきないよっ!)や、地元静岡朝日テレビの番組でもその一年を追った酒米づくり(酒米は誉れ富士)、学校給食への出荷、そして人手不足で養鶏は人に譲った話など、農家ならではの喜びと苦悩について話してくださいました。本当に美味しいんだよね、佐野さんちの生産物は! 近くのミルクランドやコープでも手に入るので、頻繁に購入させていただいてます。というか、最近は同じところで「富士山麓アイガモ農法の会」の農家の方の野菜(もちろん無農薬! しかも安いのよん)がばんばん手に入るので、苦労無しで身体にいいものを食べられるのです。これが一番の幸せですね〜。

 そして一番笑いを誘ったのは、福井大学工学部機械工学科4年の鴨三範さんの『アイガモ農法支援システムに関する研究−カモ型ロボットによるアイガモ群の集団行動の統率−』でございました。刷り込みを利用して子ガモたちを移動させたい方に誘導するという度重なる実験を紹介していたのですが、リモコンで動く親ガモもどきの鴨ロボットの可笑しさ(ごめん!)、実験の楽しさや、かわいらしさ。真剣に取り組んでいるだけにもうもう笑いが止まらなくて。。。誤解のないように言いますと、カモの習性はみんな分かるだけに、そしてみんな経験していることだったり、そうあればいいなと思うことだったりで、もう笑いが止まらないのです。大学内の通路や数々の実験農場(1畳くらい)も凄かったなあ。途中で水陸両用にしないといかんことに気付いて、すぐにトライしたりと努力には脱帽でした。私もたんぼが遠かったので、監視カメラは欲しかったけれど、こげんものは考えたこともなかった。あー、びっくり。実現化に向けて是非頑張ってください!!

 さて、トリはもちろん、古野隆雄さんです。『アジアの伝統的アヒル水田放飼農法と合鴨水稲同時作に関する農法論的比較研究』。そう、先日NHKの「プロフェッショナル」でも合鴨農法を楽しく披露してくださった古野さん、私も古野さんの書かれた2冊の飼育本で勉強させていただいたものですが、にゃんとこのたび(1/28)、九州大学で同じタイトルの博士論文で、学位を授与されたのだそうです♪ ぱんぱかぱーん!! 今までの本もすでにそういう(研究と学術的な)感じはありましたが、囲い込みという視点に焦点を合わせた論文は素人でも分かりやすく、感動ものでした。農業従事者としてだけでなく、合鴨農法を広めるために東奔西走していた古野さんのバイタリティーには頭が下がるものがあります。福岡正信さんもそうですが、すでに環境を考慮した新しい農業を実践するという意味で世界の古野さんなのですが、これからもどうぞ発信続けてくださいね〜。ずっとお会いしたかっただけに感激でございました。オーラ、やっぱりありましたねー。

 という訳で、なんだか感動したフォーラム講演編でした。そしてその後に延々と開かれた分科会(夜鍋談義)は、更に熱の入ったものでした。「この人たち、すごいわー」というのが私の感想です。よりいいやり方を、より確かな情報を、より楽しい農業を、そして仲間をというパワー。合鴨は勇気(有機)ある農業だと改めて思いながら、春一番が吹き荒れる御殿場を後にしました。来年は秋田で開催されるそうですので、合鴨農業に興味ある方は、是非足を運んでくださいませ。

 全国合鴨水稲会まで。
 
フォーラム当日(2/23)の朝の日の出。我が家からだと、もうちょっとでダイヤモンド富士で〜す。 事務局代表、龍田秀子さんデザインのお揃いスタッフジャンパー。カモはとにかく可愛い。思わず微笑んでしまいます。 全国から集まった220名の懇親会。富士山の魅力なのか、県外からの参加者が多かった。食べてる様は、なんだかアイガモのお食事のよう? それにしてもオーガニックな夕べでした〜。
手配に一年を費やしたであろう事務局の龍田さん。元富士フィルム勤務までは知っておりましたが、京大卒だったとは! ぎょえー。人生大学はあたいだけかなあ?(合鴨農法やる人ってインテリなんだろうか? )とにかくご苦労様でした。 熱の入った分科会です。こちらは「流通と販売」「食肉加工」。盛り上がっている! 「初心者集れ」。へえ、けっこういたんですね。真剣だす。


「集落の維持と担い手問題」これ、大事。なにしろどこの会も時間になっても話が終わらなくて大変でした。




今回の実行委員長の佐野さんと、奥様(真ん中)を初めとする佐野製茶関係のスタッフ。ば〜りばり動いておりました。感謝祭でもなんでも、いつでもば〜りばり。みんな恐ろしく料理がうまいんですよ〜。
「鳥インフルエンザ 野鳥との共生」は誰もが通る課題。協賛の業者さんもたくさん来てらして、全部覗いていました。
つづき
次へ(2008年6月14日)
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