ここ数年、この静岡で素晴らしい取り組みの審査員をさせて戴いています。6年前、三井農林から始まって、3年前に特種東海製紙(旧・特種東海ホールディングスグループ)に受け継がれて行われている「高等学校環境大賞」です。学校・学年部門、個人部門、部活動・サークル部門と分かれていますが、どの部門も生徒自らの汗水ながして壁にぶつかりながら形にした大傑作。作文やプレゼンテーションも、毎回読むのが楽しみなんですよね。他の審査員の先生(子供たちとの里山体験も遊び心で大人気の富士常葉大学社会環境学部の山田辰美せんせい/歌人&作詞家であり、元国連WANIF親善大使の田中章義さん)も、同じ気持ちだと思います。
たとえば、今年第6回の大賞受賞作品は、「中田島砂丘の浸食における道流堤と離岸堤の関係」。浸食をくいとめることができるのか、中田島砂丘のモデルを作り、来る日も来る日も実験を重ねた地道さと着眼点が素晴らしかった!
優秀賞は、「竹間伐材の有効利用!〜放置竹林問題の解決をめざした取り組み〜」。県立下田高等学校南伊豆分校の園芸家の面々は、途方に暮れてしまう竹林問題を前向きに捉えて、竹林からのチップで堆肥を作って野菜生育を調べ、竹炭で経営シミュレーションまでを提示。地に足の着いた楽しく頼もしい実験が好評でした。
個人部門の優秀賞は、「ヒートアイランド現象抑制のために」。県立静岡中央高等学校の八木くんは、学校の行き帰りや自宅の植物などの温度を、何カ所も毎日毎日歩いて記録して、自分の考えが正しいがどうかを調べました。大変な作業ですが、なんだか楽しそうな文面。その発想とド根性と感謝の心に審査員全員が脱帽。これからも続けるそうで、表彰式では、その足下に注目が集まったほど、ひたむきな実験でした。
部活動・サークル部門は、毎回愉快なテーマが話題の県立富岳館高等学校。光触媒班の面々は、「富士宮の酪農を守る〜畜産脱臭に向けた光触媒技術の開発と導入〜」。朝霧高原は大きな酪農地帯なので、その問題は重要。どうやったらいいのかを、光触媒で解決しようと奮起。酪農家が使うおが粉に変わる媒体として、地元の製紙会社の古紙からペーパースラッジをつくり、製品化。なんと実験農場になってくれたのは、我が班の酪農家でした!
スゴイでしょーー!? 私も高校時代は生物部天文班だったけれど、研究なんてした記憶はなく、仲間と作ったものは、うーーーん、親友3人で回した交換日記50冊だけですね(これも凄いかも)。で、ここ3年ほどこの大賞に合わせて行われていたのが、受賞者たちと行く「南アルプス探訪」でした。特種東海製紙所有の井川山林は、東西に13キロ、南北に33キロ。地図で見ると間ノ岳から下で、赤石岳や聖岳の右側です。ここを管理保全するのは大変なことですが、実際に行って歩くと、その深い森の素晴らしさに感動の連続なのです。昨年は転付峠でしたが、今年は千枚岳の千枚小屋までとあって、とっても楽しみにしていました。
が、しかし、予定は未定。審査員の先生方はお二人ともどうしても仕事で来られないし、6/19〜20は天候が思わしくなく、その日の朝にスケジュール変更が決まりました。うえーん。山登りなし。でも私は、切り替えの早さが自慢のラリースト。山グッズを軽装に変えて、意気揚々と集合場所へ向かいました。先生たちの代わりにいらして下さったのは、以前も山と樹々の関係で幾度かお逢いしたことのある、大好きな菅功さん(菅生物生態研究所代表・樹木医で森林アドバイザー)。再会は、天気の神様のプレゼントでした。そしてずっと案内してくれたのは、毎年ご対面となる特種東海製紙の鈴木康平さん。山のことなら知らぬ事はないという頼もしいお方です。
という訳で、島田市と川根町を中心とした「木」を巡る体験の旅となった我々の自然体験ツアー2010。生徒4名、顧問の先生1名、スタッフを合わせて総勢13名での1泊2日の旅でしたが、それがかえって思い出に残るよい旅だったの〜。まるで「遠くへ行きたい」みたいだったなあ。
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