|
||||||||||||||||||||||||
10月25日、午後1時、「ぱーん」と乾いたピストル音が響きました。第11回日本山岳耐久レース大会、通称「長谷川恒夫CUP」のスタートです。これより奥多摩山中の71.5kmを24時間以内に走りきるのです。レイコは初参加。しかも、伊豆アドベンチャーレース以来、まともに運動していません。『一体どうなっちゃうんだろう』ってのが正直なところです。 最初、このレースの話を聞いた時、「約72kmってことは、フルマラソンの倍ね。ふーん。大変そうだけど、24時間もかからないでしょ」と思いました。ところが走る場所が、なんと奥多摩山中。しかも超登山道ばかりとな。「むむむ、そりは大変かも」。そして、レイコが撮っておいたという第1回のビデオを見ました。「○×△※???」大変なんてもんじゃありません、げろげろです。走るというか、歩くだけでも大変じゃないですか。うへぇ〜。伊豆アドも過酷だけど、これは違った意味で超極上に過酷。 さて、大会会場まで来たけれど、ワタクシの本来の目的は健康ランドでした。スタートの写真を撮ったらとっとと風呂に行き、ビールを喰らい、翌日の昼前頃にのんびりとゴールを待とう。そんな計画だったのです。ところが! 先頭のスタート写真を撮り終わり、後から走ってくるハズのレイコの姿を撮ろうとしたら、探せど、探せど、いないじゃありませんか。参加人数1457名。ウォーリーを探せ、よりもはるかに難しい”レイコを探せ”。んん? 先に行ったか、いや、後ろなのか。一通り後ろまで見渡して、いません。 確か「ゆっくり行くわよ」と言っていたハズ。いや、でもチームターザンの誰かが「最初はスタートダッシュかませ」と言っていたような(結局、スタートダッシュをかましていたレイコ)・・・、ええい、追いついてやる! デジカメ抱えて、人をかき分けかき分け必死で走ります。ぜいぜい、汗があっという間に吹き出ます。ぜいぜいぜい、レイコはいません。さらに必死でダッシュかまします。競技者でもないのに、必死に人を抜くアタシ。ぜいぜいぜいぜい。坂道になります。うう、もう走れない。早足でなんとか一人でも抜こうとするアタシ。ぜいぜいぜいぜい。 結局、舗装路がダートに変わるまで行ってみましたが、レイコの姿は見つからず。汗だくで呆然と立ちすくみ、やがて競技者が消えていく山道の険しさを目の前にして、寒気がしたのでした。「ぐぞー。こうなったら途中のどこかで、写真撮るぞ」 夜中12時。スタートして11時間です。当然、真っ暗。しかも、ううう寒い。ここは40km地点の鞘口峠です。第2関門(全部で4つの関門があって、そこの制限時間内に通過しなければイケマセン)まであと2km、三頭山という大会コース上最高地点・1527mから一気に400m下った1140m地点にあります。第一関門(22.66km)を5時間46分で通過したレイコ。計算通りならば、もうとっくに過ぎていてもおかしくないのですが、なかなか姿を現しません。 ここまでの下りはかなりキツイらしく、来る人来る人はかなり疲労困憊。多くの人が足を引きずっています。殆ど口もききませんが、時折「きっついなー、この下りは!」と聞こえてきます。また、スタッフが待機している場所でもあり、中間を過ぎた場所でもあることから、ぽつりぽつりとリタイア者が出ます。そらそうでしょ、11時間も歩いてようやく、半分ちょっと。しかも、真夜中。足下を照らすのは己のヘッドライトだけ。この先もまだまだ上り下りの激しい山道。足に故障を抱えた人や、体力の限界が来ている人ならば、当然の選択です。 あ、由花ちゃんだ。とっくに先に行ったものと思っていたチームターザンの菊地由花ちゃんを発見です。どーしたの。「崖から落っこちちゃいましたー」しょえー。で、どうなの。「だめですー」・・・って言いながら、歩みを止めないし。気をつけなはれ〜。 それから約1時間、草木も眠る丑満時になろうとしているのにレイコはやってきません。寒さのあまりリタイア者用の毛布を巻きつけて足踏みしながら待っていると、目の前にぼっ〜と見覚えのあるグレーな人が。あ、来た来た、あー、良かった。どうスカ? 「両膝やっちゃった」ありゃりゃ。もともと右足の靱帯に爆弾を抱えており、それをかばおうとして左足の膝も痛めたようです。一瞬『リタイヤするって言うかな?』と思い次の言葉を待つと「とにかく24時間オンタイム目指すわ」。そうして、1,2分止まっただけで、暗闇に消えていきました。 あんな足で、後30km以上トンデモナイ山道を行けるのだろうか? 行けたとしても24時間以内に帰ってこれるのか? 一体、どうなっちゃうんだろ? 全く予想のつかない先を思いながら、コンビニの駐車場でおでんを囓って朝を待ったのでした。 (つづく・・・・・・いすわりまりこ)
|
Copyright 2001 Fairy Tale, Inc. All rights reserved. |