vol.16. 2001年7月18日 *ゲストエッセイをいただきました

カモ日記 田舎育ちのまりこバージョン

 「カモ農業」と聞くと、カモを田んぼに放してハイおしまい、後はカモの働きに任せ、時々カモに「あっちの虫を食わんか」「こっちのひえをむしらんか」と叱咤激励。そんでもってこちとらビールでも飲みながらのんびりと稲が実るのを待つ。そんな印象がありました。
 ところがこのホームページを読むとどうも違う。なんだか朝から晩までカモに付き合っている。まるで生まれたばかりの子供を世話するように、人間が寝不足になりながらカモの世話をしている。ふむ、なんか変。失礼ながら思いました。「レイコさん、あなたはなんか間違っているのでは?」
 そんな疑問符を頭にくっつけながら、やってきました、朝霧へ。迷いに迷って到着したその田んぼには、数人の大人がニコニコしながら泥だらけで立っています。「カモよ〜、かわいいでしょ〜」と真っ黒な顔で手招きされ、近寄ると。おおお、ぴよぴよぴよぴよ(←100回繰り返し)。体長20cmくらいの合鴨たちが人間めがけて寄ってきます。手を伸ばすと逃げようともせずに、手をつつきます。なんてカワイイ奴ら。毛はやわやわ、しかもくちばしはつつかれてもちっとも痛くなく、しかも暖かいのです。このくちばしが暖かいというのは驚きでした。おお、つついてつついて、もっとつついてえええ。
 さて「カモ入れ」とは田んぼに放しているカモを巣箱に入れる作業です。夕方になると入れてここで眠らせるのです。これは大変な作業かと思っていましたが、とんでもない。カモは母親、つまりレイコさんの姿を見ると「メシくれ、ホレくれ、とっととヨコセ!」と寄ってくるのです。つまり田んぼの虫や草だけではとても腹いっぱいにはならない。つまりつまりカモはいつでも腹減りです。
 そこでエサやりを一緒にさせてもらいました。大根の葉っぱとせりをあげます。牛や鶏を飼っていた自分はそのまんまボンッと与えようとします。ところが「ダメ〜」とダメだしブラザーズ、じゃなくてダメだし母さんが叫びます。「カモは細かくしてやらないとダメなの」・・・『え〜、大丈夫だしょ。それってネコッ可愛がりつーか、過保護なんちゃうん』心の中でそう思っているものだがら、口では「ハイ!」と言いつつもぞんざいにちぎってあげます。大丈夫大丈夫、カモは自然の生き物、そんなに弱くないってばっ。
しかし、ふと気づくと一匹のカモがなかなか飲み込めないで苦労しているよう。くちばしの先から緑のくきがニュッと出ています。うきゅ、ごきゅ、けほ・・・ありゃなんか大変そう、でも大丈夫大丈夫、だってカモは自然の生き物ですから。
 ところがそれを見つけたレイコ母さん、脱兎のごとくそのカモに駆け寄ります。そっと抱きかかえて、くきを引っ張ると! うにょー。あららなんと15cmはあろうかと言う茎がそのまんま出てきました。「ね、こうなるから絶対に細かくしなきゃいけないの。自然に生えているものだと食いちぎって細かくできるけど、与えられるものは押さえて食いちぎる事はできないからね」そっか、そうだよなー。与えられている時点で自然なものでは決してなくなっているのです。自然の生き物だからこそ、自然でない環境には対応できないのですね。自分の認識の甘さと、自然と自然でない事の境を見極めないと大変な事になると思い知らされた瞬間でした。すまんね、カモくん。

と、以上ミスター・バイクBG編集部の梶川真理子(ここに遊びに来ると必ずゲロを吐いていく恐ろしい女だす)でした。レイコ。

「ひえ日記」 7月16日

 レイコさんの田んぼに行きたい。それだけで 何処に行くのか、どんな事をするのか、なぁんにも考えず滋賀クンダリからふらふらやってきた私がこんなにも幸せな気持ちになれるなんて・・んふふ!
 田んぼに始めて足を踏み入れる。ぶにゅぶにゅぶにゅ・・・・こう、生温かくヤサシイ物体が私の足を包む。う〜ん、なんともいえない感覚。稲のふりしたひえちゃんは、素人の私を笑ってるのではないか・・・・そうこうしているうちに、並んでやり始めたはずの皆さんが遠くの方にいて・・・・手にはたっくさんのひえちゃん。そこで私は少し焦りだす。見落としてきたんだろうか? と、不安になる。皆さんのようにたくさんのひえちゃんの収穫をしたいと思う気持ちがこ〜んな広々としたグランドの真中で、ちっちゃな、ちっちゃな私を生み出す。え〜い、いっそうの事、稲の節の毛をこそげようか!『そこはないのよ』と、慰め(?)ていただきながらも時間がたつにつれコツをつかむ。ふと気づくと、夢中、無心になっている私がいた。少し痛くなってきた腰を伸ばして空を見た時、『あ、私って、田んぼの一部なんだ、地球につながっているんだ、』と思った。
 世の中のものに、意味付けをしたがる私は、『ひえはこうやって、引っこ抜かれてしまうけど、いったい何の役割があるのか』と考えた。そして解った。『友達を集めてくれるのね。みんなに逢わせてくれるのね』『ああ、ひえちゃん、ありがとう』そして自然に私を受け入れてくれるレイコさん、ありがとうございます!!
 カモちゃんのことも、他にも、初めての体験で感動した事、い〜っぱい書きたい事ありすぎ。そう、そう、皆さん、ブヨにはご注意あれ! 美しかったおみ足がパンパンにはれてしまった。トホホ・・・ 
また、ここに来たい!! 

***森 三智子***(ビューエル大好きなミス?バイク)

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