2010年10月6日

■ 信越五岳トレイルランニングレース2010・ヌタヌタの彼方の第8エイド


  相馬剛選手がトップでゴールした16:37頃、私は前日までの雨でヌタヌタになった御巣鷹山(小黒姫)の裾野に続いている要注意ポイント(60キロあたり)を歩いていました。このころになると、会う選手はほぼ限定されて来ます。ゆっくりと何人か抜かれ、ゆっくりと何人かを追い越していく感じ。みんなも自分のペースを守っているので、楽しそう。

 そして、テンポが合うのでしょう、区間区間で、私の後ろをピタッとキープして歩く人が幾人か…。ベラベラとは喋りませんが、「おっと危ない」「凄いね、ここ」なんて感じで話したり。足音や鈴の音で存在は分かるのですが、顔は見ないしゼッケンも覚えないので、けっきょく誰だかは分からないまま進み続けました。最後までに数人ほどいたかな。
 ラリーでは、自分と合うペース(わずかに自分より速いとラッキー)の先行車を見つけたら、時にくっついていったりするのですが、それを「お引き」と呼んでいました。スタックしたらサッと別の道に行けるし、動きで路面状況も分かるので、後光が射すほど助かることも。「さっきの“お引き”、ずっと付いて行きたかったね」という感じなのですが、この信越では、なぜか「お引き役」すること多し。
 でも、夜中に長い距離を付いて来た男性、幾度も「先に行きますか?」などと声を掛けたのですが、一度も返事なし。振り向いても姿が分からず、ちょっと謎だったのですが、家に帰ってきてから「もしかして生きてる人間じゃなかったりして…」 なあんて思ったり。「なんだか楽しそうだなあ」と遊びに来たタマシイかも!!! ふう〜っ。
 
 さて、66.6キロ地点にある笹ヶ峰高原の第5エイド近くになると、知り合いに「走れ!」と助言された牧場が出て来ました。思ったより長く、やはりここは全開で行って正解でした。平坦なので、ほっとしてペースダウンすると、関門時間の18:30に間に合わなくなってしまう。言われなかったら、危なかったかも。分岐にいるスタッフに聞きます。「あと、何キロですか?」「2キロだよ」「わ〜い」。次のスタッフに聞きます。「あと何キロですか?」「2.5キロだよ。頑張れ」「うげげ」なんてことを繰り返しながら、なんとか17:35に到着!!

この信越五岳、サポートなく走っている多くの人のために、第5エイドにドロップバッグ(着替えなど装備品)が置けるようになっています。 さあ、とっぷり暮れ始めたここからが山場。みんな頭の中は、ウエアやヘッドランプなどのことでイッパイ、のはず。 「若ちゃ〜〜〜〜〜ん!」。間に合って大喜びの図。

← 可笑しかったのは、先日のモンブランで仕入れた、このUTMB(ツール・ド・モンブラン)マーク入りのオリジナルキャップ。ヘッドランプとの合がよかったので被ったら、なんと裏返しだった。自分では見えないけれど、どう見ても「花咲か爺さん」じゃん。

 そして、急に冷え込んだのに、なぜか私はまったく寒くなくて、結局、アームカバーしただけでした。雨が降ろうが何だろうが、最後まで暑かったなあ(燃えていた!?)。

このエイドでも、前方にいる女性(若ちゃんと一緒に動いていた人)が作ってくれた「ミネストローネ風ヌードル」を戴いてパワーアップ!
「早くエイドから出したい」スタッフのご好意で、17:44出発♪

 エイドを出ると、すぐに真っ暗に。でも走りやすい林道で、ぐんぐん進みます。毛無山では明るく思えたおニューのライトは、この森の中では寂しい明かりで使い物にならず、すぐにサブのハンドライトを追加しました。そして、何キロも行かないうちに「ぎょええええええ〜っ」のヌタヌタ地獄の山越えがやってきました。おそらくここは例年そうなのでしょうが、今年は雨があったので、もうなんというか何処もかしこも滑りまくって“わや“。「わーっ」「おおおおぅ」とあっちで叫び声、こっちで叫び声。一気にスピードダウンしたので、私もショック。
 
 ただここでは、いろんな人の会話が聞こえてきました。第5エイドからペーサー(選手と一緒に残りの45キロ弱を走ることができる走るサポーター。手は引けないが、荷物などを持ってあげられる)も走っているので、急に2人、3人、4人、はては数人の仲間とみられる塊が出現して賑やか。ペーサーより調子良さそうな選手がいたり、女性3人を引っ張ってる男性ペーサーがいたり、なんだか楽しそう。おそらく眠気防止でしょう、懸命に話しかけている女性ペーサーもいました。とにかくヌタヌタでは眠気も起こらない。

 ここでの失敗は、滑らないように細心の注意をはらっていたものの、剥がれた親指の爪を幾度も木の根っこに激突させてしまったこと。激痛なんてもんじゃなかったよ〜〜。「親指さん、ご免なさい!!でも、頑張ってー!」。

 10キロほどすると、81キロ地点の第6エイドに到着しました! みんな辛かったらしく、休んでいる人がたくさんいました。焚き火に当たって震えている人。横になっている人。ゆっくりゆっくり食べている人といろいろです。あの第3エイドからの灼熱地獄よりも更に厳しい状況だったのかもしれないなあ。

 私はトイレに行ったら、屈んでも腿が痛くないのでビックリ。テーピングのお陰? ペースもいい感じなので、疲れてはいるけれど、何処までもいけそう。
 ここには、芥田さんもいました。彼は「ルートに入って動けなくて困っている人を見かけたらフォローできる救護隊」なので、大忙し。「よかった。いけそうだね。でも時間ないから、けっして第7エイドは寄らないで、まっすぐ第8に!」「は〜い」と約束して別れました。
こちらは、92.3キロ地点の第8エイド。只今の時刻は22:00時。ここを24:00までに出発しないと失格とあって、緊張感が漂っています。

若ちゃんもとっくに着いているけれど、女性トップのクリッシー・モールは3時間前にゴールしているけれど、私はまだまだ。。

 この数分が後になって命取りになるとは。「エイドはオアシスですが、さっさと出発してください!」と主催の石川さんが散々言っていたっけ。

 でもね。人は少ないけれど、この第7エイド、光るルミナスの輪がポンポンと置いて山への誘導がされていて、とってもいい雰囲気でした。「あ、(そのキャップ)モンブラン行かれたんですね」「取材なので、走ってないんですよ」「僕はまだ疲れが残っていて」「そうよねー」と会話あり。花咲か爺さんなのによく分かったなあ。

そのころ私がいたのは、静かな鏡池の第7エイド。UTMB(ツール・ド・モンブラン)の半分、つまりCCCというレースと同じ距離の87キロ地点。
寄ってはいけないと言われていたけれど、どうしてもバナナが食べたくて〜。水も補給してました。


 第6からここまでの道も、なかなかユニークでした。1.5キロの登りの舗装路は、生まれて初めて「ラフ(ヌタヌタ?)より楽じゃん!」と思わせてくれて、軽快。1.5キロのせせらぎの上を行く木道は、暗いけれど尾瀬のようで気持ちよく、戸隠神社の参道(横っちょの水飲んじゃった)は、なにしろ参道なので身も心も進みました。コースはミスコースしようもないほど分かりやすいし、いたるところで至れり尽くせりなのが伝わってきます。第7からの山道は、少し歩きやすくなって、この先「大丈夫かも!」という希望に続いていました。そして…

 

23:41。第8エイドを出発前の私。周りはさりげなく焦っている感じ(そりゃそうだ!)。

「大丈夫?」と若ちゃん。「うん、登り好きだし」と、私。まさかこのあと、更なる地獄が待っているとは思わなんだの礼子でした。

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