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地球サイズのリサイクル「自立のための道具の会」TFSRを取材したのは、今から4年前、1998年のことでした。愛知県東加茂郡旭町の「あさひ製材協同組合」の鈴木禎一さんを未来派として取材させていただいたのですが、道具の会の作業本部として会社の場所を提供なさっていて、そこにある幾つかのコンテナに並べられた道具を見たときには、本当に感動してしまいました。役目半ばで終わろうとしていた工具たちが、今か今かと出番を待っているのです。忘れ去られて寂しそうだった道具が、地元の小学生や近隣のボランティアの手によって磨かれると、この世で一番幸せな道具に変身します。とにかくみんな、それはそれは楽しそうに磨いていました。再生することで道具のなんたるかを学んでいる人もいます。遠くからもやって来ます。船積みのコンテナも手作りで、スリランカなどのアジアに送るだけではなくて、現地に行って指導もするなど、活動はどんどん広がって行きました。役に立つために生まれてきた道具たちを見つめることは、自分たちの人生を見つめることにも通じるのでしょう。真剣であること、楽しむこと、みんなでやること、誰かが喜ぶこと・・・いい波動をいただき、とても感動した時間と出逢いでした。 問い合わせ先 TFSR事務局 TEL:052−569−2777 FAX:052−569−2778 エッセイスター第14弾 「TFSR JAPANニュースレター」No.8 1999年2月 道具とのつきあいは、生まれてすぐに始まります。育ててもらう間に、回りの大人たちが多くのモノを与えてくれますが、扱い方や接する気持ちは、その頃に決まってしまうような気がします。私がバイクの修理道具より先に深くつきあっていた道具は、漫画を描くためのものでした。カラスグチや各種ペンを使って、小学校低学年からストーリー漫画を描き始めたのですが、これは学校の勉強より熱中しました。工夫次第でどんな線も描けることや、手入れを怠ったりブランクが長いと、錆びるだけでなく、命そのものが失われていく事も知りました。道具とつきあう事で、人とのつきあい方も学んだような気がします。
コンテナに整理され、山と積まれた道具たちに、まず驚きました。私が持参したようなどうしようもない道具は稀で、そのほとんどがキチンと大切に使われていた物たちです。プロの大工さんが使っていたと思われる手作りの道具は、特にピカピカで、触ると感動のあまり鳥肌が立ちました。普通の家庭で普通に使われていたものでさえ、愛が感じられます。丁度届いた宅配物の梱包を解く瞬間に立ち会わさせて戴いたのですが、胸がきゅ〜んとなってしまいました。既に磨かれてある愛用の道具が、丁寧に紙や布にくるまれており、その横には「送るだけで御免なさい」とメッセージ。どの箱も使用状況や応援の言葉が、さりげなく書かれてありました。不用品をタダで処分できて良かったなんてのは皆無です。「本当はこの瞬間を、会員の皆に見てもらいたいんだよね」と鈴木さん。 by 公平な立場を越えて取材してしまった山村レイコ
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